「港交番」と「赤崎駐在所」 安全・安心の拠点開所 大船渡警察署(別写真あり)

▲ 地元の小学生がパフォーマンスを披露し港交番の開所を祝福

 大船渡市大船渡町の大船渡警察署港交番(佐藤貢所長)=旧・大船渡駅前交番=と、赤崎町の同署赤崎駐在所(及川高夫所長)の開所式は19日、それぞれ現地で行われた。東日本大震災で被災し、再建が進められてきた県内15交番・駐在所は、今回の2施設開所ですべての整備が完了。式典には警察関係者や地域住民らが集まり、安全・安心の拠点完成を祝い合った。

 

県内被災交番などの再建完了

 

新しい赤崎駐在所前で行われた式典

 県内の警察施設のうち、交番・駐在所は17施設が被災。その後、陸前高田市の旧小友駐在所など一部施設が統合され、大船渡署の2交番3駐在所を含む計4交番11駐在所の再建が進められていた。
 この日は、午前に赤崎駐在所、午後に港交番の開所式を実施。
 このうち、赤崎駐在所の式典には、警察や市、県の関係者ら約30人が出席。黙とうのあと、島村英県警本部長が「地域にとって最も身近な治安基盤。住民の不安解消や復興に大きく貢献してほしい」と式辞を述べた。
 次いで、杣亨県沿岸広域振興局副局長らが祝辞。勤務員の及川所長が紹介されたあと、同署の及川雅人署長が謝辞を述べた。
 式後、赤崎保育園の年長児らが駆けつけ、「いかのおすし」のダンスを披露。赤崎小学校の6年生も合唱し、駐在所の開所を祝った。
 一方、港交番の開所式には40人余りが出席。式辞を述べた島村本部長は県内最後の交番再建を祝い、来賓祝辞では戸田公明市長が「地域が強く再建を望んでいた施設。安全安心のよりどころとなるように」と願った。
 その後、勤務員の佐藤所長ら警察官6人を紹介。及川署長は謝辞の中で「治安の維持に努めるとともに、地域の要望に応える活動を行う」と決意を述べた。
 式後は、大船渡北小学校の4年生が郷土芸能「赤澤鎧剣舞」を、大船渡小学校の6年生がソーラン節の演舞を披露。それぞれ、地元の交番が復活したことの喜びを伝え、出席者や来場した地域住民らの笑顔を誘っていた。
 大船渡町野々田にあった旧駅前交番と、赤崎町生形にあった赤崎駐在所の旧施設は、大津波でそれぞれ全壊。盛町の同署内に設けた仮事務所に機能を移したうえ、再建を図ってきた。
 このうち、駅前交番は市の土地区画整理事業で整備された加茂神社交差点付近に移転再建。名称は、市民らを対象にしたアンケートをもとに、県警本部を通じて県が駅前交番の前身と同じ「港交番」に変更。本年度から大船渡町に加え、盛町も管轄する。
 新施設は木造2階建てで、延べ床面積は194平方㍍。建築費は8156万円で、相談室や女性職員が使えるシャワールームなどを整備。近隣には多くの商業施設や住宅があり、24時間体制で地域を見守る。
 一方、赤崎駐在所は、市の防災集団移転促進事業で造成された高台に移転。木造平屋、延べ床面積108平方㍍で、建築費は5542万円。駐在所近くには新しく建てられた保育園や小学校、地区公民館などがあり、地域のニーズに細やかに対応していく。
 港交番と赤崎駐在所は、今月1日から運用を開始している。
 佐藤所長は「交番には常時、警察官がいるということを地域のみなさんに知ってもらい、安心の基盤をつくりたい」と、及川所長は「各家庭を回って特殊詐欺への注意を呼びかけるなど、住民の方々の安心を守れるよう努めたい」と意気込んでいた。