感謝の気持ち届けて 支援先などにお礼状 広田地区に新ポスト設置 陸前高田(別写真あり)

▲ 「せーの」でポストにはがきを差し出す子どもたち

 陸前高田市広田町の国民健康保険広田診療所(岩井直路所長)や地区コミュニティセンターの敷地内にこのほど、地域住民の要望を受けて新しく郵便ポストが設置された。24日には、隣接する広田小学校(鈴木敏彦校長、児童119人)の子どもたちが新しいポストにはがきを投かん。友達や家族、日ごろお世話になっている人、東日本大震災後に同校を支援してくれている学校・企業などに対し、自らの手で感謝の気持ちをつづるきっかけにした。

 

児童がはがき投かん

 

 同市では東日本大震災前、市内全体で61本あったポストのうち34本が津波で被災。広田町内には震災後、復旧したものも含めてこれまで4本が設置されていたが、同コミセンや診療所、消防屯所、広田保育園などが一体的に整備された高台の造成地にはポストがなく、住民から「不便」という声が挙がっていた。
 これを受けて岩井所長(63)が働きかけを行い、地区コミセンや郵便局の関係者らが協議。5月にオープンした同診療所向かいの「とうごう薬局広田店」前にポストが設置され、今月20日から利用可能となった。今後は、同薬局が切手などを取り扱う予定もあるという。
 さらに、岩井所長は広田小に対し、「子どもたちが手紙を書くきっかけにしては」と提案。24日には同校の6年生と1年生合わせて約40人が昼休みを利用して訪れ、それぞれが書いたはがきを投かんした。ポストに郵便物を差し入れるのは初めてという児童も多く、「なんだかドキドキする」「本当に届くのかな?」などと言いながら目を輝かせた。
 子どもたちは保護者とも相談したうえで、身近な人をはじめ、震災後に応援を受けてきた県外の学校や毎年同市に寄付を行っている企業など、自分たちで送付先を決め、1人当たり2枚から3枚のはがきに感謝の文面をつづったといい、心を込めたイラストも添えた。
 菅野愛裡さん(6年)は「転校した友達には『夏休みにまた遊ぼうね』と、お母さんには『お仕事頑張ってね』と書いた」と話し、津田陽斗君(同)は友達と親せきのほか郷土芸能(御祝い)を教えてくれる先生にあてて、「『いつもありがとうございます』という気持ちを込めた」とはにかんだ。
 子どもたちの様子を見守った岩井所長は「じーんときた。『ポストがほしいね』と口にしたことがよい〝化学反応〟を起こした感じ」とうれしそうに語り、鈴木校長(56)は「震災の経験がない子も増えているので、支援してくれた先に手紙を出すというのも一つの風化防止になると思う。ここからまたやりとりが始まるなど、いろんな形へと広がっていけば」と話していた。