アワビ 待望の初口開け 例年より3週間ほど遅く 大船渡

▲ 水揚げされたアワビが次々と選別されていった

早朝、浜には所狭しと漁船が並んだ

 大船渡市の三陸町吉浜地区と末崎地区で22日、三陸沿岸の初冬の風物詩、アワビが口開けとなった。天候の関係で例年よりも3週間ほど遅れての初口開。この日は両地区合わせて約2・8㌧が水揚げされ、昨年の初水揚げを約1・6㌧上回るスタートとなった。今季は品薄感から価格が高騰しており、漁業者らは今後に期待を寄せながら初漁に励んだ。


吉浜と末崎で計2・8㌧水揚げ

 

 今年は台風19号などの影響によって第1期解禁日は例年の11月1日から同6日へと変更されていたが、その後も天候の影響で口開けできない日々が続き、気仙地区では解禁から2週間以上たって待望の初漁を迎えた。
 この日、気仙で口開けとなったのは吉浜、末崎地区のみ。吉浜地区では、漁解禁の午前6時30分を前に漁船が一斉に海へと繰り出して待機し、解禁時刻がくると同時に箱めがねやカギさおを使って漁にいそしんだ。
 同10時近くになると、漁を終えた船が続々と帰港。根白漁港の集荷場では、11時ごろまで慌ただしく選別作業が行われ、互いに漁況を報告する漁業者の姿が見られた。
 大船渡市と吉浜の両漁協によると、この日の気仙管内の水揚げ数量は両地区合わせて約2・8㌧。このうち吉浜地区の初日の水揚げ量は約2・2㌧で、前年比約400㌔増だった。
 アワビ漁歴60年以上にもなるベテラン漁師・柏崎忠一さん(76)は「やせてはいたが、思ったよりはアワビがいた。きょうの目標は10㌔だったが達成できてよかった」と話していた。
 10月に盛岡市で開かれた第1期アワビ事前入札会では、近年続く不漁の影響も背景に、10㌔当たりの平均価格が前年同期比1万2676円増の11万円台にまで高騰。
 気仙地区で平均価格が最も高かったのは吉浜漁協(専属、入会)の12万円で、前年の地区平均最高値を1万円上回った。
 平均価格の上昇は県内全地区共通の傾向で、近年の不漁による数量不足などが主な要因とみられている。
 気仙では、今季は資源保護のためにアワビ漁を見送っている漁協もあり、今後の資源動向に大きな注目が集まる。
 平成30年のアワビ水揚げ実績は、全県で数量が前年比5・1%減の139・8㌧。累計金額は同44・6%増の17億2978万円となった。気仙地区は、数量が前年比36・7%減の11・5㌧、累計金額は同3・3%減の1億2805万円だった。