新たに6カ所運用へ 大船渡港で水門・陸こうの自動閉鎖 県

▲ 自動閉鎖システムの導入が始まる野々田地区の陸こう

 県は30日から、大船渡市大船渡町の大船渡港野々田地区、赤崎町の同山口地区の陸こう合わせて6カ所で、「水門・陸こう自動閉鎖システム」の運用を開始する。気仙管内での同システムの運用は、県大船渡土木センター所管分が今回整備分含め16カ所。東日本大震災を教訓に、消防団員が水門・陸こうの閉鎖作業で津波災害に巻き込まれないよう自動化を図るもので、県は今後も、県内の水門・陸こうへの自動閉鎖システム導入を進めていく。
 同システムは、国が発令する津波注意報・警報を県が全国瞬時警報システム(Jアラート)で受信すると、衛星回線を通じて施設に閉鎖命令が出され、自動で水門・陸こうが閉鎖されるもの。
 沿岸部の水門・陸こう約520基のうち、約300基は常時閉鎖やフラップゲート式となり、残る約220基が自動閉鎖の対象となっている。
 震災により、本県では水門・陸こうの閉鎖作業に当たった消防団員48人が犠牲になった。県では消防団員が現地へ向かうことのないように自動閉鎖システムを導入し、安全かつ迅速・確実な閉鎖につなげる考え。
 閉鎖開始前にはサイレンや音声、回転灯、電光掲示板などで閉鎖を知らせるほか、避難し遅れた場合でも階段などで陸側に避難することができる。異常が起きて自動閉鎖されない場合は、遠隔操作で対応する。
 地震発生から閉鎖指令受信までは約5分、その後、閉鎖・避難などを周知する0〜10分の「待機時間」を経て、約4分かけてゲートが閉鎖される。
 気仙では平成29年8月、大船渡市赤崎町の合足農地海岸で同システムが運用開始された。大船渡港では昨年、茶屋前地区で防潮堤(延長約1㌔)が完成し、陸こうに自動閉鎖システムが導入された。
 野々田地区では延長約0・8㌔、山口地区では延長約1・3㌔の防潮堤が完成したことから、自動閉鎖システムの陸こうも整備し、それぞれ30日から運用を開始する。地元住民向けに自動閉鎖システムの説明会も予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止。チラシなどでシステムの周知を図っていく。
 県大船渡土木センター復興まちづくり課の阿部忠課長は「ハード面での整備は進んでいるが、地震が来たらまずは避難するという意識は忘れないでほしい」と話していた。