新型コロナウイルス/目指せ1000枚 女性社員が布マスク製作 千吉建業(陸前高田)が作業開始(別写真あり)

▲ マスクづくりに励む佐々木さん㊨と松岡さん

 住田町世田米の建設業・㈲吉田工務店(千田宏明代表取締役)の子会社・千吉建業㈱(陸前高田市、千田美恵代表取締役)では現在、女性社員が布マスク作りを行っている。新型コロナウイルス対策として手探りで始めた取り組みで、まずは吉田工務店の社員約20人とその家族分のマスクを製作。その後は地域貢献として、吉田工務店が会社を構える同町内の子どもたちや高齢者にも届くよう計1000枚の製作を目指す。

 

住田町・吉田工務店の子会社

 

 千吉建業は一昨年11月、女性の社会進出を応援しようと、吉田工務店の出資によって設立し、昨年から本格的に稼働。現在の社員は女性2人で、親会社である吉田工務店から住田町内の道路の維持管理作業を受託している。
 新型コロナウイルスの感染拡大により全国的にマスクが品薄となっている中、吉田工務店では今月20日、「医療従事者は最前線で活動している。必要としている所に届け、有効に活用してもらいたい」との思いから、会社保有の医療用サージカルマスク360枚と医療用ゴーグル約70個をすべて県大船渡保健所保健課に寄贈。今後、感染が広まれば現場で作業する社員たちもマスクの着用徹底が求められることから、現場作業で汚れても洗って繰り返し使用できる布マスクの製作を千吉建業で開始した。
 千吉建業では、ミシンと布を用意して21日から作業を開始。社員である佐々木智子さん=陸前高田市米崎町、松岡まどかさん=同市高田町=の2人はいずれも子育て中の母親で、現在は通常業務からマスク作りに仕事を切り替えて作業を行っている。2人とも子どものために布マスクを作った経験があるといい、手際よくミシンを操りながら一つ一つ丁寧に製作している。
 現在、気仙の小中学校はすべて休校となっていることから、会社側は在宅勤務も許可して子どもの面倒を見ながらでもマスクを製作できるよう配慮。大型連休前には、約20人いる吉田工務店社員分のマスクを作り、連休明けには社員とその家族にも行き渡るよう約200枚の完成を目指す。
 その後も、作業の合間を見ながらマスク作りを進め、いずれは吉田工務店が本社を構える住田町内の子どもたちや高齢者にも配っていきたい考え。
 新型コロナウイルスとの戦いは長期戦が見込まれる中、吉田工務店の千田代表取締役は「従業員から感染者が出てほしくない。使い勝手のいいマスクを配ることでしっかり予防してほしい。企業活動を続けながらも、しっかりとケアはしていきたい」とし、「マスク作りをやってもらうことで女性の雇用も守りたい。また、地域あっての企業なので、微力ではあるが貢献していければ」と話していた。