新型コロナウイルス/97%が「何らかの影響」 県内NPOに緊急調査 気仙2市と釜石の3団体

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、気仙2市と釜石市のNPO法人3団体による「連携による検討会」はこのほど、気仙を含む県内のNPO法人などに対する緊急アンケートを行った。67件が回答し、新型ウイルスによって「何らかの影響がある」と答えたのは97%に当たる65件に上り、結果からは活動の難しさが浮き彫りとなった。同会は結果を分析して県に要望書を提出し、NPOへの助成などによる救済措置を求めた。

 

活動の難しさ浮き彫りに

 

 この調査は、大船渡市のおおふなと市民活動センター(木下雄太理事長)、陸前高田市の陸前高田まちづくり協働センター(三浦まり江理事長)、釜石市の@リアスNPOサポートセンター(鹿野順一代表理事)の3NPO法人が実施。新型ウイルスへの対応に関し、NPOなどの市民活動に取り組む組織、団体等への影響を把握し、必要な支援方法を検討しようと企画した。
 アンケートは全15問。主に県内のNPOなどを想定し4月1〜15日に実施。大船渡市12件、陸前高田市17件、釜石市11件、その他27件の回答があった。
 設問のうち、「新型コロナウイルス感染症により、事業運営、組織経営に何らかの影響はあるか」に対し、「ある」と答えたのは7割に当たる48件。「今はないが今後可能性がある」は17件で、「ある」と合計した件数は65件に上った。「ない」は2件にとどまった。
 「委託事業での影響は(複数回答可)」に対し、最も多かったのは「事業・イベントの中止や延期」の41件。次いで、「当初予定した成果が達成できない」29件、「必要なサービスが提供できない」28件、「公共施設等の閉鎖により場所が使えない」21件となった。回答が多かったこれらの影響は、「補助金・助成金事業」「自主事業」でも同様の傾向が見られる結果となった。
 「経営面での影響は(同)」の問いで最多となったのは、「次年度事業計画が立てられない」の25件。「次年度予算計画が立てられない(資金繰りの悪化)」15件、「スタッフの雇用が維持できない」14件などが続いた。
 こうした影響に対し、「対応を考えているか、または対応したか」の質問に「対応した・もしくは考えている」と答えたのは46件。具体的な対応には、「事業・イベントの規模縮小」「休業」「公的支援制度の活用」などが挙がった。
 連携による検討会は、この結果を分析。事業面の課題には、「事態が長期化する見込みであり、事業再開のめどが立てられない団体も少なくない。予定していた事業を行うことができないために、事業費の減額や返還、想定していた事業収益を上げることができず、活動資金が不足する状態になっている」とし、「活動資金の不足による大きな懸念は職員の雇用維持であり、中小企業が抱える課題と変わらないと推測できる」とした。
 事業・イベントの規模を縮小した団体が多かった結果については、「受益者に必要なサービスを提供することができなくなっていることが見てとれる。コミュニティーや居場所づくりに取り組む団体が多く、長期化によって受益者が社会的なつながりから孤立し、心身の健康が脅かされることが懸念される」とみている。
 木下理事長は「NPOの経営基盤にもろい部分があると再確認した。助成金や補助金頼みの危うさがあり、行政側にも対応が求められる」と話す。三浦理事長は「陸前高田市内は、市内と県外との交流事業を扱っている団体が多い。事業ができずに収入がなくなり、経営面でも大きな影響が出てくるのでは」と懸念する。
 調査結果を踏まえ、連携による検討会の3団体は連名で達増拓也知事宛てに要望書を提出。「NPO法人の財源の多様性に配慮した柔軟な制度設計」「NPOの事業継続のための包括的な支援実施」など5点を求めた。