前年度比で40%増加 開設以来最多の実績に 地道なポートセールス奏功 昨年度コンテナ貨物量

 令和元年度の大船渡港コンテナ貨物量がまとまり、実入りの輸出入合計が2808TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)と、開設以来最多の取扱量となった。前年度と比較し、輸入はほぼ横ばいだったが、輸出が80%伸び、全体でも40%増えた。欧米向けの紙パルプ輸出の割合が大きく、港湾関係者の地道なポートセールスが奏功した。本年度は新型コロナウイルスの影響で、厳しい出だしとなっているが、国際フィーダーコンテナ定期航路は週1便体制を継続しながら、官民一体となった港勢拡大を図る。

 

本年度も週1便体制継続

 

 大船渡港で港湾運送事業を展開する東北汽船港運㈱や市などによると、令和元年度のコンテナ船入港は51隻で、週1回のペースで寄港。輸入は1080TEUで、前年度比13TEU(1%)上回り、輸出は1728TEUと同比790TEU(80%)も伸びた。
 輸出の大幅増に伴い、全体の取扱量も過去最高だった前年度から803TEU(40%)増加。近年は輸入と輸出の割合がほぼ同じだったが、前年度は輸出が大幅に上回り、空コンテナの移入も660TEUと前年度の15倍強となった。
 輸出のうち、8割近い1406TEUを占めたのは、オランダやアメリカ向けの紙パルプ。次いで中国やマレーシア向けの樹脂類が120TEU、アラブ首長国連邦やベトナムへの機械類が106TEU、タイなどに向けた冷凍魚が50TEUとなっている。
 一方、輸入で最も多いのは、オランダやフィリピンなどからの建築部材で774TEU。アメリカなどからの牧草が278TEU、同国からの冷凍魚は14TEUだった。
 大船渡港では平成19年度末、韓国船社による釜山港との国際貿易コンテナ定期航路が開設。同年度のコンテナ貨物取扱量は輸出入計1605TEUで、20年度は落ち込んだものの、21年度は1536TEU、22年度は1760TEUと徐々に数を増やしてきた。
 しかし、23年の東日本大震災で港湾施設は壊滅的な被害を受け、コンテナ定期航路は休止に。復旧工事などを経て、25年9月から外貿船が多数寄港する関東の主要港を結ぶ国際フィーダーコンテナ定期航路の運航が始まった。
 本年度に入り、世界各国で新型コロナウイルスの影響を受け、貨物量も大きく落ち込んでいる。港湾関係者は当面は厳しい情勢が続くとみる一方、引き続き地道なポートセールスに取り組みながら、貨物確保を図ることにしている。
 年度別のコンテナ貨物取扱量は別掲。

 

ターミナル協も純利益確保
通常総会開催

 

 コンテナ貨物用のクレーン、リーチスタッカの管理運営事業を担う大船渡国際港湾ターミナル協同組合(宮澤信平理事長)は27日、通常総会を盛町の大船渡商工会議所で開催。理事ら15人が出席し、令和元年度事業報告書や損益計算書、本年度の事業計画などを審議。いずれも原案通り承認、決定したほか、役員改選では宮澤理事長が再選された。
 宮澤理事長はあいさつで、クレーン導入などに伴う借入金の返済が完了したことなどにふれながら「経済活動が鈍っているが、少しずつ回復すると思われる。ポートセールスに努めたい」と述べた。
 元年度はクレーン利用料などの事業収入が伸び、純利益は176万円を確保。本年度は先行きが見通せない状況にあり、事業収入は前年度実績の7割弱で予算計上しているが、関係機関の連携を強めながら、苦境打破を見据える。