新型コロナウイルス/確実な2次感染防止へ 医療関係者ら向けに研修会 気仙(別写真あり)

▲ 気仙圏域での発熱外来設置を前に開かれた研修会

「発熱外来」開設を前に


 県大船渡保健所主催の「新型コロナウイルス感染症PPE(個人用防護具)研修会」は8日、大船渡市猪川町の大船渡地区合同庁舎で開かれた。今月末に予定する「気仙圏域地域外来・PCR検査センター」(発熱外来)の設置を前に、気仙の医療、自治体関係者ら向けに2次感染の防止を確実なものにしようと開催。参加者らは、感染症の専門知識を備えた医療従事者らから防護服等の着脱手順や検体採取の注意点などを学び、感染防止への意識を高めた。同様の研修会は9日も開かれる。

 

大船渡保健所主催

今月末の設置を予定

 

 気仙圏域地域外来・PCR検査センターは、気仙3市町の住民に新型コロナウイルスの感染が疑われる場合などにおいて、かかりつけ医らの判断のもとで診療やPCR検査などを行う機関。
 大船渡市が設置主体となり、陸前高田市と住田町、気仙医師会、県立大船渡病院、県大船渡保健所が協力。開設場所は、地域や住民混乱を防ぐため非公表としている。
 対象者は、気仙3市町在住の中学生以上。患者がかかりつけ医を受診し、医師がPCR検査を必要と判断した場合に同センターへ予約し、指定日時に検査を行う。結果は患者本人に通知し、保健所、かかりつけ医、当日検査した医療スタッフらにも報告するとしている。
 今月末には開設する計画で準備を進めており、研修会もその一環で開催。日時を変えて2回設定し、初日は気仙の医療関係者をはじめ、3市町や同保健所の職員ら35人が参加した。
 講師は、いわて感染制御支援チーム(ICAT)のメンバーで、感染症管理認定看護師の水野香里氏(県立大船渡病院)と紺野由香里氏(県立釜石病院)が担当。ICATの副統括を務める岩手医科大学附属病院感染制御部長の櫻井滋氏が助言者を務めた。
 大船渡保健所の小野泰司次長があいさつしたあと、「検体採取および検体の取り扱いにかかる留意点について」と題して講義が行われ、個人用防護具の着脱手順やPCR検査を行う場合の注意点について、講師らが動画も使いながら分かりやすく示した。
 個人用防護具は、湿性生体物質に汚染する危険性があるときなどに身に着けるもの。医療従事者を微生物や有害物質から守ると共に、その拡散を防ぐ役割も果たす。
 検体採取に当たっては、医療用ガウン(エプロン)、サージカルマスク、キャップ、フェースシールド(またはゴーグル)、手袋を着用する。講師らは手指消毒の徹底や、ウイルスが付着しやすい前面は触れないなどの注意点も挙げながら、着脱の手順を実演した。
 続いて、小野次長が同センターにおける診察や検体採取の流れを説明。診察室は患者室と医師室をアクリル製の遮へい板で分け、医師が検査窓から両手を通して患者の鼻から検体を採取する仕組みを想定しているという。
 このあと、参加者らは個人用防護具の着脱や検体採取の手順を体験。それぞれ講師陣のアドバイスを聞きながら、感染防止に有効な対応策を身に付けていた。
 質疑応答では、櫻井氏が改めて手指消毒の必要性や適切なマスクの着用方法をアドバイス。同氏は講評で、「PPE(個人用防護具)は自分を守るものと感じるが、自分から人にウイルスをうつさないという意味もある。検体採取は非常に重要な仕事であり、感染者ゼロのうちに練習を重ねてほしい」と呼びかけた。
 気仙医師会の滝田有会長は「非常に勉強になった。学んだことをもとにし、センター業務に役立てたい。十分な準備をして、適切に進めていきたい」と話していた。