新型コロナウイルス/夜空焦がす大輪の花 商工会青年部(別写真あり)

▲ 20発の花火が住田の夜空を照らした

 住田町商工会青年部(松田格(いたる)部長)は25日夜、町内で花火を打ち上げた。同青年部では例年、7月末ごろに気仙のトップを切って開催される町夏祭りに合わせて花火の打ち上げを行っていた。今年は新型コロナウイルスの影響によって夏祭りが中止となったが、青年部では新型ウイルスの早期収束への願いを込め、例年よりも規模を縮小したうえで実施。20発の大輪が、夏の夜空を焦がした。

 

夏祭り中止受け花火打ち上げ

「収束」への願い込めて

 

 「コロナに打ち勝て 夜空に輝くみんなの想い」と銘打って打ち上げられた20発の2号玉が、静かなまちの夜を照らした。
 同青年部では毎年、夏祭りの締めくくりに約200発の花火を打ち上げているが、今年は町内外から不特定多数の人が集まることから「密集は不可避」と判断し、夏祭りの中止が決まっている。
 青年部では「さみしい夏になってしまうので、小さくてもいいから花火だけは打ち上げよう」との思いから今回のイベントを企画。今月初めごろから、部員たちが準備に奔走してきた。
 例年は各所に募金箱を設置して協力を求めていたが、今年は町内各企業を回って協賛を依頼し、15件ほどの企業から協賛金が集まった。
 この日は、気仙川に架かる世田米の昭和橋近くの河川敷から打ち上げ。日が沈んだ午後8時、開始の合図とともに次々と花火が上がり、川面を明るく照らした。
 密集を避けるために事前告知は一切行わなかったが、花火開始の号砲を聞きつけた近隣住民が軒先から花火を見上げるなど、夏らしい光景が広がった。
 町内に住む40代女性は「たまたま来たら花火をやっていて、今年は夏祭りもなく花火を見ることができないと思っていたのでありがたい。子どもたちも喜んでいたのでよかった」と、夜空に咲く大輪を眺めていた。
 松田部長(37)は「大成功だった。来年は200発ぐらい打ち上げられるようになれば」と新型ウイルスの早期収束を願う。
 昭和橋は架け替えを控えており、早ければ来年には現橋が解体されることから、花火と現橋の共演は今年で最後となる可能性も。松田部長は「最後となる昭和橋とのコラボも、なんとか実現できてよかった」と話していた。