道の駅高田松原 来店者50万人達成 にぎわい創出の拠点に

▲ 7月23~26日の4連休は大勢の人でにぎわいをみせた道の駅「高田松原」

力強い復興を内外に発信

 東日本大震災の津波で全壊し、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内に再建された道の駅「高田松原」の来店者数が10日までに、50万人に達した。昨年9月にオープンし、にぎわい創出の拠点となっている。一方で、新型コロナウイルス感染拡大による1カ月余りの臨時休業などで、当初の見込みより約3カ月遅れでの大台突破となった。震災発生からきょう11日で9年5カ月。同市の力強い復興を内外に発信し、交流人口拡大を図るうえでも重要な三陸沿岸のゲートウェイ(玄関口)で、運営側は感染症予防と集客を両立させるべく取り組んでいる。

 

きょう震災9年5カ月

感染予防と集客の両立へ

 

 道の駅には7月23~26日の4連休、市内外から多くの人が訪れた。23日に栃木県から家族で訪れたという50代男性は「初めて陸前高田に来た。津波復興祈念公園は道の駅もあるし、震災を学ぶ施設もあり素晴らしい」と買い物を楽しんでいた。
 道の駅を運営する㈱高田松原(熊谷正文社長)によると、4連休の来店者数は1日当たり2000人台~5000人台。24日は、本年度最高の5200人に上った。
 同公園には県内唯一の国営追悼・祈念施設があり、震災の犠牲者追悼、教訓の伝承、にぎわいの創出を担う。新型ウイルス感染症予防のため4月12日から臨時休館したが、感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除を受け、5月25日に再開した。
 道の駅は再開に合わせ、感染対策を強化。マスク着用、手指消毒用のアルコール消毒液設置など基本的な対策に加え、人の接触を防ぐため出入り口を一方通行化した。館内のフードコートエリアを屋外に臨時で設け、飲食店はテークアウト(持ち帰り)のみ行っている。
 国土交通省の「重点道の駅」に選定されており、建物内の物産・農産直販売エリアでは豊富な土産品をそろえるほか、「広田湾産イシカゲ貝」「米崎りんご」など地域ブランドを発信。遠方から商品を取り寄せられる通販サイト「高田松原e─station(イー・ステーション)」の取扱品拡充にも力を入れる。
 年間の来店者数は80万人台を目標に掲げ、計画を上回るペースで観光客らを受け入れてきた。しかし、休業した4月以降、それまでの半分にも届かない客数となり、オープン後初めて迎えた5月の大型連休に営業できず大打撃を受けた。
 今月1日からは、地元の子どもたちに楽しんでもらおうと「広田湾のちいさな水族館」(23日まで)を開催中。お盆期間に合わせて検討してきたほかの行事については、安全を優先して開催を延期した。
 飲食店では夏限定のテークアウトメニューの提供を開始。今後は、フードコートを館内に戻す時期などについて、市と協議する。
 熊谷社長は「このコロナ禍の中で、50万人を達成したことにまずは感謝している」とする一方、「先を見通せない状況が続き、自分たちができることに集中していくしかない。コロナの一日も早い収束を願いつつ、安心して買い物ができる環境を形成し、さらに地元の人たちにも足を運んでもらえるような運営をしていく」と見据える。