演劇の灯ともし続ける コロナ禍で悩む人に希望を 陸前高田出身の俳優・菅野さん

▲ 「演劇の灯をともし続ける」と力を込め、23日から上演する「フィルダーズ」の視聴を呼び掛ける菅野さん

 陸前高田市高田町出身で東京都在住の俳優・菅野結花(ゆうか)さん(29)は23日(金)から3日間の日程で、東京都世田谷区のcafe field(カフェ・フィールド)で、自身が脚本・演出を務める演劇「fielders(フィルダーズ)」を上演する。ライブ配信サービス「ユーチューブライブ」で生配信し、新型コロナウイルスの感染拡大で、苦境に立たされる演劇文化の灯をともし続けようと奮闘する役者たちの熱を古里、全国に発信する。

 

演出作品を23日から上演・全国に生配信

 

 物語は演劇活動の先行きが見えず、不安や生きづらさを抱える若い男性俳優が主人公。ある夜、バーを訪れ、そこでの出会いをきっかけに一歩を踏み出す。フィクションだが、俳優が俳優役を演じることで、コロナ禍の実社会に重ね、もがいている人たちへの希望とエールを込めたストーリーだ。
 出演者は菅野さんと、それぞれ俳優事務所や個人で活動している日向享兵さん、小川未来(みく)さん、石永健揚(たけあき)さん、古荘(ふるしょう)トモノブさんの5人。23日と25日(日)は東京都在住のアカウントプランナーで、東日本大震災後、ボランティアで陸前高田市に通い続けている神門かなさんがギター奏者として出演する。
 23日は午後8時から、24日(土)と25日は午後4時からと同8時からの各2回上演し、生配信する。新型コロナウイルス感染対策のため、会場での観劇は20人ほどに限定し、一般ドリンク付き3000円、ドリンクなし2500円。オンラインで視聴する場合もチケット(2000円)の購入が必要で、名前、希望するチケットの種類(現地か生配信、日時を選ぶ)、枚数、メールアドレス、電話番号を記載し、メール(fielders1023@gmail.com)で申し込む。
 12月末まで繰り返し配信を予定しており、生配信を見られない場合でも、後日、同じ手続きでチケットを購入すれば、視聴できる。 菅野さんは高田高を卒業し、平成23年、山梨県立大3年の時に東日本大震災で実家が被災。同年夏に古里の陸前高田市で自ら撮影した親族や友人へのインタビューや、被災した建物などの映像をまとめた震災ドキュメンタリー映画『きょうを守る』を制作し、同年11月に公開。国内外で上映活動に取り組んだ。家族は数年前に市内の高台に自宅を再建した。
 大学卒業後は岩手県内で4年間新聞記者として勤めながら、釜石市や大槌町の市民劇団で活動。3年半前に上京し、劇団青年座研究所で演劇を学び、約1年半前から都内の俳優事務所宝井プロジェクトに所属している。
 新型コロナの影響で、4〜5月はほとんど俳優事務所の仕事がなくなったが、大好きな演劇の道で奮闘を続けている。菅野さんは「コロナの状況下だからこそ、オンラインで岩手に演劇を届けることができると気付いた。文化活動をしている人の気付きにつながったり、演劇になじみのない人にも可能性を感じてほしい」と古里を思いながら視聴を呼び掛ける。
 問い合わせは菅野さん(℡080・8200・4262)へ。