白石峠「もう一歩進めて」 国道107号改良整備へ県要望 気仙の行政や関係団体

▲ 改良整備の早期実現を訴えた要望活動=20日、県庁で

 気仙3市町と関係団体、事業者は20日、盛岡市の県庁を訪れ、達増拓也知事宛てに気仙と東北横断自動車道を結ぶ国道107号改良整備の早期事業化などを求める要望書を提出した。一行は、大船渡~住田間の白石峠での新たなトンネル建設や屈曲区間のショートカットなどに向け、住民生活や産業活動での具体事例も交えながら必要性を訴えた。
 要望活動には、大船渡市の戸田公明市長、住田町の佐々木真建設課長、陸前高田市の伊藤肇建設課長補佐、大船渡市議会の渕上清議長、関係機関の代表者ら18人が参加。県側は、県土整備部の中平善伸部長らが対応した。
 戸田市長は中平部長に要望書を手渡し、内容を説明。「現在、白石峠を整備の優先箇所として検討を進めていると聞いているが、もう一歩進めていただき、峠部の新たなトンネルの建設や屈曲区間のショートカットなど、幹線横断道路にふさわしい改良整備の早期事業化を」と力を込めた。渕上議長らも「県内でも取り残された感がある、早急に整備を」などと訴えた。
 要望書は、気仙3市町など16の関係機関と、遠野市が連名で作成。国道107号について▽白石峠および荷沢峠での新たなトンネルの建設や屈曲区間のショートカットなど改良整備の早期事業化▽積雪や路面凍結時の対策の充実▽内陸部と重要港湾「大船渡港」を結ぶ幹線道路の重要物流道路指定に向けた取り組みの推進──を求めている。
 これに対して中平部長は「重要性については十分に認識している」と発言。特に、白石峠は走行上の課題が多いとしたうえで「どのようなルートが良いのか、しっかりと優先的に調査を進めたい」と述べた。
 このあと、大船渡商工会議所の米谷春夫会頭が「107号が改良されると、多くのビジネスチャンスが生まれる」、市観光物産協会の齊藤俊明会長が「観光振興に向けては交流人口の拡大が最重要。主要道路の107号は生命線といっても過言ではない」とそれぞれ発言した。
 太平洋セメント㈱大船渡工場の服部誠工場長は、北上地区の工業団地で出た廃棄物をセメント製造に用いるため、大型トラックで搬送している現状を説明。二酸化炭素排出量の削減など環境を考えた資源循環の重要性も挙げ「まだ多くを受け入れることは可能だが、物流面で弊害がある」と語った。
 市水産振興連絡会の舩砥秀市会長は、気仙の各漁協では北海道の日本海側から運ばれたホタテの稚貝で養殖を行っているとし、時間短縮による生産性の向上を強調。「物流が良くなれば、漁業の発展につながる」と話した。
 陸前高田区選出の佐々木茂光県議、大船渡区選出の千葉盛県議も、内陸部を結ぶ道路ネットワークの重要性を訴えた。
 最後に中平部長は「国費をいただき、財源をしっかりと確保することが大事。相当具体的で個別に整備効果を示せることが分かったので、引き続き財源確保や調査を進めていきたい」とし、理解を求めた。