新型コロナウイルス/気仙で2人目の感染確認 クラスター発生の飲食店利用

 県は20日、住田町在住の50代無職男性から新型コロナウイルスが検出されたと発表した。男性はクラスター(感染者集団)が発生した盛岡市の飲食店「ヌッフ・デュ・パプ」を今月7日に利用しており、検査を受けたところウイルスを検出。一時、発熱や嗅覚異常などの症状があったが、重症ではない。県内ではこの男性を含め新たに15人(98〜112人目)の感染が確認され、1日当たりの最多数を更新。県内の総患者数は112人と100人を超え、県は県民らに改めて感染症対策の徹底を呼びかけている。

 

住田町の50代男性

県内患者数112人に

 

 県によると、住田町50代の男性は、複数の患者が発生した7日にヌッフ・デュ・パプを利用。友人1人とともに訪れており、これまで公表された患者を含むグループとは別という。気仙では、13日の大船渡市20代公務員男性に続くウイルス検出で、県内では108人目の患者となった。
 この男性は10日に筋肉痛を訴え、11日以降には37・8度の熱や鼻水などの症状が表れた。17日には嗅覚異常もみられたが、現在は無症状だという。19日に感染症指定医療機関に入院した。
 7日以降の行動歴をみると、この日の夜は県内に宿泊し、8日に帰宅。その後、14、17日にも外出し、在宅した13日には来客と接したが、いずれもマスクを着用していたとしている。
 濃厚接触者は、別居家族1人、団体職員1人、来客1人、7日に会食をした友人1人の計4人で、接触者は知人2人。このうち、別居家族と団体職員、知人2人の4人は19日に検査を行い、結果は20日午後3時現在で出ていないという。来客と友人は検査に向けて調整中。
 このほか、新たに感染が確認されたのは盛岡市4人、紫波町2人、雫石町1人、矢巾町1人、花巻市2人、釜石市2人、宮古市2人。現時点で重症者はいない。
 このうち、盛岡市の3人、紫波町の2人、花巻市の2人は、関連性があるもの。
 盛岡市の50代会社員女性、40代会社員男性、20代会社員男性、紫波町の40代会社員女性2人は、17日にウイルスが検出された82人目の矢巾町40代会社員男性の同僚。
 また、花巻市の40代団体職員女性は、18日に感染が確認された95人目の同市50代会社員男性の濃厚接触者。同市在住の20代会社員男性は、同日ウイルス検出が判明した92人目の滝沢市50代会社員男性の濃厚接触者だった。紫波町の女性2人は92人目、95人目の職場の同僚でもあり、県は職場を中心に感染が広がったとみて調査を進める。
 盛岡市の70代自営業女性は、88人目の患者となった同市60代自営業男性の家族。矢巾町の40代会社員女性は、18日に感染が判明した90人目・盛岡市40代会社員男性の職場の同僚だった。
 宮古市の30代会社員女性は、89人目の同市30代会社員男性の家族。この男性は、「ヌッフ・デュ・パプ」を利用した患者が会食した宮古市の飲食店「居酒屋ニシザワ」を訪れていた。
 このほか4人の患者は、現時点で過去の感染事例とは関連がないケースとなっている。
 雫石町在住の30代会社員男性は12日に発症しており、県が感染源などの調査を進める。
 釜石市在住の20代無職女性と20代会社員男性は夫婦で、9日に国外から入国。入国時に行った検疫での検査では不検出だったが、その後に症状が表れ、感染が確認された。こうした事例は、県内では初めてとなった。
 宮古市60代会社員女性は、14日に発症。県が感染源などを調べていくとしている。
 県内では11月に入り、感染源や感染経路が特定できない患者、職場、飲食店を起点としたクラスターが発生。感染拡大がとどまることなく、今月だけで患者数は85人にのぼる。
 男女別に見ると、男性72人、女性40人。年代別では20代が33人と最多で、次いで40代24人、50代20人。10代のみゼロで、そのほかの各年代で患者が発生している。
 市町村別では盛岡市が48人と最も多く、次いで滝沢市15人、宮古市11人と続いている。気仙では大船渡市1人、住田町1人。
 県などは県民らに対し、常時マスクの着用やせきエチケット、手指消毒、室内の換気と湿度調整などの基本的な対策を徹底するよう呼びかけている。
 20日午後3時現在、患者112人のうち、入院中は46人、宿泊施設療養中は22人、退院・療養解除は30人、入院等調整中は14人。