「仮橋」の工事進む 架け替え控える昭和橋

▲ 昭和橋下流で仮橋の設置工事が進む

 県の治水対策の一環として、架け替えを控えている住田町の昭和橋。現橋の解体に向けて歩行者専用の仮橋の工事が始まっており、12月中にはおおむね完成する見込みとなった。仮橋設置後は、気仙川のアユ漁解禁期間などを避けながら現橋の解体、新橋の建設を進めていく。

 

12月中におおむね完成

 

 気仙川に架かる町管理の昭和橋は、昭和8年に架橋。長さ73㍍で、世田米商店街と役場などがある川向地区を結ぶ。気仙川沿いに立ち並ぶ蔵並みと調和し、歴史や古き良きたたずまいを感じさせる景観を形成している。
 一方、通行可能な道幅は3・2㍍で、一般車両のすれ違いができない狭さとなっている。また、橋脚が7本あり、その間は9・1㍍しかなく、現状では上流からの木などが引っかかり、川の水をせき止めることで浸水被害を及ぼす恐れもあると指摘されている。
 県では詳細設計をまとめる中で、一昨年9月から昨年10月までの間、専門家や地域代表らによる昭和橋景観検討委員会を計5回開催。デザインコンセプトには「世田米の中心にて住田町の歴史と文化を象徴し、地域とともに新たな歴史をはぐくむ橋」を掲げ、単に機能だけでなく住民生活や景観との調和も重視してきた。
 新橋は、鋼桁とコンクリートを合成したものを用いて建設。橋長は72㍍、幅員は7・8㍍で、橋脚は1本とし、構造上で必要な幅は確保しつつも、むやみに大きくすることは避け、橋上部に合わせた形状で整備する。
 架橋位置は現行ルートと同じ場所としていることから、まず現橋の下流側約200㍍地点に、延長66㍍、幅2・6㍍の歩行者専用の仮橋を設置する。
 10月に仮橋設置場所周辺の伐採作業を行い、同27日から工事用道路の設置に着手。工事は順調に進んでおり、12月中には仮橋の形が出来上がる見込み。
 これに並行して、新橋設置に向けた周辺の用地整理の手続きも実施。仮橋完成後は手続きが済み次第、現橋の解体に移る。仮橋は、現橋の解体工事が始まってから通行可能となる。
 工事は、気仙川の稚魚放流時期やアユ漁解禁期間を避けながら進めていく。計画当初の完成予定は令和5年度となっている。
 県大船渡土木センター住田整備事務所の佐藤高久所長は「町のシンボルにもなっている昭和橋の架け替え。早期完成に向けて頑張っていきたい」と話している。