説明会「おおむね理解得られた」、市議会全員協議会で市教委が報告、スクールバスの来年度路線減

徒歩ルートの課題対応も検討へ

 

 陸前高田市教委は、27日に開かれた市議会全員協議会で、来年度以降の市内小中学校のスクールバス運行について説明した。国の補助も活用して現行9路線としている運行体系を5路線に改める方針で、市内各地区ではすでに今月上旬に説明会を実施しており、「おおむね理解を得られた」と報告。バス廃止に伴って設定されようとしている徒歩ルートの安全確保などの課題については、庁内検討を進めながら対応していく考えを示した。

 同市のスクールバスは、学校統合によって遠距離通学を余儀なくされる場合や、東日本大震災の浸水区域を通らざるを得ない場合の安全確保にと、現在は9路線で運行している。
 年間の運行経費は約1億1000万円。このうち、矢作町方面の2路線の運行は、震災以前からの学校適正規模化の計画に基づいて市単独で実施しているもので、年間経費は約2300万円。このほか7路線は国の全額補助で行っている。
 本年度末までの防潮堤など防災インフラの復旧完了や国からの財政支援終了見通しを受け、市教委では見直しを検討。学校統合により遠距離通学となっている児童・生徒に対象を絞り、▽小黒山線▽的場線▽横田線▽椿島線▽集・矢の浦線(仮)──の5路線へ縮小する案をまとめた。
 バスは現在貸し切りとして運行しているが、乗車人数に応じたリースに切り替え、運転業務を委託する。運行日数や時刻、停留所などは当面の間、従来通りとする考え。現在は9路線合わせて約360人が利用しているが、変更の場合、来年度当初は5路線計で95人となる見通し。利用対象から外れ、通学距離が小学生で4㌔、中学生で6㌔を超える場合には、通学補助金を支給する方向で検討するとしている。
 素案については、今月2~10日に6地区で住民説明会を開き、保護者や地域住民、学校関係者らに提示。6会場合わせて約190人が参加しており、千葉賢一学校教育課長は「おおむね理解を得られた」と報告した。
 一方で、説明会では歩道や街路灯の整備など、自転車や徒歩で通学する際の安全面に対する要望が多く上がっており、一人で長距離を歩かなければならないなど、低学年児童の通学に対する不安も寄せられた。
 安全面について、同課長は「順次対応する方向で庁内検討を進めている」、低学年児童の対応については「各学校において来年度の通学体制の検討を進めている」と説明した。
 スクールバスの対象外となる学校では、保護者や地域とともに新しい通学ルートの検討が始まっている。議員からは「通学路に関する要綱や指針が市民に示されていない」と、その必要性の指摘があり、教委側は「来年度以降検討したいと考えている」と答えた。
 また、自転車通学にかかる安全プログラム実施への質問もあり、「現在は学校で年1回程度やっているととらえているが、今後の開催について学校と協議していきたい」との考えを示した。
 市教委がまとめた令和3年度のスクールバス利用見通しは別掲の通り。