10カ所で完成時期延びる 気仙での県の復興事業

▲ 完成時期が4年3月に延伸した大船渡漁港海岸防潮堤・水門の細浦地区

 東日本大震災による被災を受け、県が気仙3市町で進めている防潮堤や道路などの復旧・復興事業のうち、10カ所で完成時期が延び、最長で令和4年3月までずれ込むことが分かった。施工条件の変化による工法の見直しや地盤改良などに時間を要したのが延伸の主な理由で、この10カ所については本年度末に終了する復興・創生期間内での完成が見込めなくなった。県は早期の完成、供用開始を目指して事業を進めていくとしている。

 

防潮堤や道路、最長で1年

 

 完成時期の延伸は、県が国、県、各市町村による社会資本整備の進ちょく状況を定期的にまとめた「社会資本の復旧・復興ロードマップ」の最新版(第23回、11月10日現在)で公表。
 気仙では、前回基準日(3月31日)から新たに陸前高田市の六ケ浦(県事業)、只出(市事業)、根岬(同)の各漁港海岸防潮堤、主要地方道大船渡広田陸前高田線の久保~泊工区(県事業)の4カ所が完成した。
 一方で、大船渡市8カ所、陸前高田市1カ所、住田町1カ所の各県事業が、これまでの予定より9カ月から1年、それぞれ完成時期が延びることとなった。
 大船渡市では、主要地方道大船渡広田陸前高田線(船河原工区、延長約2・2㌔)と、一般県道碁石海岸線(末崎~碁石工区、同約2・4㌔)の完成時期が3年3月の予定から9カ月延び、同12月に変更となる。
 大船渡広田陸前高田線は、工区内に設置するアーチカルバートの工事に伴い、地下水への影響対策にかかる工法の検討と施工に時間を要した。碁石海岸線は、工区内でのボックスカルバート工事に修正が必要となり、完成時期が延びた。
 また、同市では野々田地区海岸ほか防潮堤と、大船渡港、綾里漁港、大船渡漁港の各海岸防潮堤・水門、主要地方道大船渡綾里三陸線(赤崎工区、同約4・1㌔)、一般県道丸森権現堂線(下船渡工区、同約2・1㌔)は、3年3月の完成予定が4年3月と1年間ずれ込む。
 野々田地区海岸は、跡浜、普金、永浜の各地区での防潮堤整備、大船渡港海岸は清水地区の防潮堤、茶屋前地区の水門1基と取り付け部分の工事で延伸。整備箇所に硬質な岩盤などがあり、地中に障害物が確認されたため、工事に調整が生じた。
 綾里漁港海岸は、港地区で綾里川水門の両側に構築する防潮堤の一部と市道付け替え部分で、工法の見直しと作業に時間を要した。石浜地区では港地区側の山付け部分の岩盤が固く、工法変更などにより工期が延びる。
 大船渡漁港海岸では、永沢地区の陸こう1カ所を含む防潮堤整備において工法を見直し、施工に当初想定以上の時間が必要となった。細浦地区は水門の基礎部分にある海底の岩盤が固く、工法変更で作業時間が延びるなどした。
 主要地方道大船渡綾里三陸線は、赤崎大橋(完成済み、赤崎町跡浜地内)から赤崎小学校付近までの区間で地盤改良に時間を要した。赤崎中学校付近から工区終点(同町永浜地内)を結ぶ区間(同約2・4㌔)は、本年度内に供用開始を見込む。
 一般県道丸森権現堂線は用地確保に時間が必要となり、3年度から全区間での工事着手、同年度内の完成、供用を目指す。
 陸前高田市の国道340号(仮)今泉大橋工区(同2・6㌔)は、同橋がかかる気仙川右岸側(気仙町)の地盤改良工事に時間がかかり、橋を含む全線開通が来年12月にずれ込んだ。
 住田町の国道340号(葉山~恵蘇区間、同約1・4㌔)は、全線供用が4年3月に延伸。起点(上有住葉山地内)から有住中学校付近の交差点を結ぶ区間内に設置する橋りょう2カ所(1号橋、2号橋)の下部工が地盤状況の関係で遅れ、上部工にも影響が及んだ。交差点から終点(上有住恵蘇地内)の約1㌔間は、本年度末に供用可能となる見込み。