2020気仙この一年/記者の取材ノートより⑧【教育】

▲ 3校編入後初となる第一中学校の入学式=大船渡市

学校統合それぞれの動き
財政支援終了で通学方法見直しも

 

3中学校が閉校し第一中に編入
大船渡

 

 大船渡市立第一中学校への編入統合に伴い、日頃市、越喜来、吉浜各中学校の閉校式が3月に行われた。3校はそれぞれ昭和22年4月に創立。73年間で日頃市から3490人、越喜来から4836人、吉浜から2149人の卒業生が巣立った。4月には第一中学校で入学式が行われ、新入生128人が仲間たちと手を取り合いながら新たな校史を刻む決意を誓い合った。 
 市教委は平成28年度に策定した「市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」で、生徒数の減少によって1学年1学級の状態が続く3中学校の統合を提案。29年度には、各地区で立ち上がった協議会が第一中学校を相手校とした統合推進を決め、第一中学区の協議会でも合意となり、スクールバス運行などの準備を重ねてきた。
 今年は同校の環境整備でも、大きな動きがあった。8月に改築事業の基本設計がまとまり、現在の校地内北側に鉄筋コンクリート4階建ての新校舎と屋内運動場棟を新たに整備する計画が示された。令和4年度内の竣工・移転を目指す。
 閉校した各中学校の校舎利活用策検討も本格化。日頃市地区では住民が集まり、まちづくりや地域課題解決につながるアイデアをまとめた。市では、こうした動きを「協働まちづくり」の充実にも生かす考え。
 適正化計画に沿い、本年度末で赤崎、綾里両中学校を閉校し、来年4月に統合校「東朋(とうほう)中」が開校する。セーラーブレザーとする女子の新制服や運動着の各デザイン、校訓は「切磋琢磨(せっさたくま)」とすることなどが固まったほか、各校生徒の交流も行われた。校舎は現在の赤崎中を使用する。
 大船渡、末崎両中学校の統合に向けた推進協議会では、3月に一度決まった新校名「おおふなと」が白紙に。本年度は一部委員が入れ替わり、協議を重ねた。昨年度までは現在の大船渡中、末崎中を閉校し、新たな学校を新設する「新設統合」で合意。校舎は大船渡中を活用する計画としていた。
 当初予定していた「来年4月の統合は難しい」との認識で一致し、教育委員会側は「令和4年4月の統合」への協力を求めてきた。しかし、校名で折り合いがつかず、12月に協議会として「学校統合については白紙とする」との結論に達した。統合の行方は、現段階では不透明な情勢となっている。


スクールバス運行計画検討
陸前高田

 

 陸前高田市教委は、来年度以降の小中学校のスクールバス運行計画を検討している。現行の9路線から5路線に縮小する方針で、徒歩や自転車による通学の安全確保策なども探っている。
 同市のスクールバスは、学校統合によって遠距離通学を余儀なくされる場合や、東日本大震災の浸水区域を通らざるを得ない場合の安全確保に──と平成23年度から運行。本年度末までの防潮堤など防災インフラの復旧完了や国からの財政支援終了見通しを受け、計画を見直している。
 計画路線は▽小黒山線▽的場線▽横田線▽椿島線▽集・矢の浦線──の5ルート。利用対象を学校統合により遠距離通学となっている児童・生徒に絞る。
 これにより現在約360人が利用しているが、来年度当初は5路線で計95人となる見通し。利用対象から外れ、通学距離が小学生で4㌔、中学生で6㌔を超える場合には、通学補助金を支給する方向で検討している。
 県が広田町で災害復旧事業として進める県立野外活動センターの移転新築工事は、管理・宿泊棟と体育館の施設整備がほぼ完成に近づき、運動広場やテニスコートなど屋外運動施設の造成工事も進ちょく。いずれも来年3月までに完成し、屋外体育施設は5月、センター全体は7月の供用を見込む。完成後は、各種研修や自然体験、スポーツ活動の拠点としての活用が期待される。