歌声に感謝と応援込めて 合唱団体メンバーらが米国歌斉唱映像を収録、五輪ホストタウンの一環で(別写真あり)

▲ 声高らかに米国歌を響かせた参加者

 大船渡市の合唱団体・大船渡さんご合唱団(新沼邦夫団長)とアミーチェ(三浦幸子代表)などによる米国歌斉唱映像の収録作業は24日、盛町のリアスホールで行われた。東京オリンピック・パラリンピックの「復興ありがとうホストタウン」の一環で、同市の相手国が米国となっており、2月に開催されるオンラインシンポジウムでの公開を計画。参加者は、東日本大震災直後に受けた支援の感謝や米選手らへの応援、五輪開催への期待を込めた。

 

 収録には、両団体のメンバーや有志の中高生ら約30人が参加。カメラ数台の前で、米国歌『星条旗』(The Star─Spangled Banner)の1番を斉唱した。
 事前にオンラインレッスンなどを重ねてきたが、そろって歌声を響かせるのはこの日が初めて。指揮者がいない状態でも息を合わせ、発音にも気を配りながら、さわやかな歌声を響かせた。
 参加者が立ったひな壇の脇には、同合唱団が用意した東日本大震災支援に対する感謝のメッセージも掲示。米軍が展開した被災地救援活動「トモダチ作戦」では、気仙両市でも捜索救助活動や人道支援物資の輸送・提供などが繰り広げられ、こうした縁からホストタウンとしての交流事業につながっている。
 市などによると、当初は在日米軍音楽隊との共演による収録を計画していた。新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言発令を受け、音楽隊の大船渡訪問はかなわなかった。
 それでも、収録を終えた三浦代表(76)は「楽しかった。歌いながら感動がこみ上げた。こういった機会を得ることができ、感謝している。いつか、また、米国歌をみんなで歌いたい」と話し、笑顔を見せた。
 新沼団長(69)は「震災支援への感謝を込めた。音楽の力も大切だが、スポーツの力も重要。オリンピック、パラリンピックが開催されることで、新型ウイルスからの影響の脱却にもつながっていくことになるのでは」と、期待を込めていた。
 五輪開催に伴うホストタウンは、参加した外国人選手との交流にとどまらず、参加国からゲストを招いて歴史・文化を学ぶなど、スポーツや文化、経済の多様な分野でつながりを生み、地域の活性化に生かす取り組み。昨年12月までに、国内513自治体が参加し、182の国・地域と結んでいる。
 気仙両市は「復興ありがとうホストタウン」として、東日本大震災から復興した姿を示しつつ、これまでの支援への感謝を伝えようと、大会関係者らと交流を深める。大船渡市は米国、陸前高田市はシンガポールが相手国となっている。
 米国とは花巻市なども相手国となっており、各自治体が一体となって応援する機運を高めようと、内閣官房東京オリンピック・パラリンピックが主催する「米国国歌斉唱リレー動画制作プロジェクト」が始動した。各自治体での収録国歌斉唱映像を一つにまとめ、2月21日(日)と22日(月)に開催されるホストタウンと米国の各関係者が参加するオンラインシンポジウムに合わせて公開される。