文化的な交流継続へ 気仙での活動経過報告 国内外のアー ティストらがオンラインで中間発表会

▲ オンラインでの中間発表行事に参加する越戸さん㊨

 陸前高田市のなつかしい未来創造㈱(田村滿社長)主催の「KESEN AIR(ケセン・エアー)」の中間発表行事「気仙─くらしとアート オープンスタジオ」は30日、オンラインで行われた。国内外の4人のアーティストが、コロナ禍の中で気仙地方と関わりながら行ってきた本年度のアート活動の経過を報告。リモートで行うそれぞれの活動の工夫や現状を語り合いながら、気仙との文化的な交流継続への思いを共有し合った。

 

 AIRは「アーティスト・イン・レジデンス」の略。国内外から招へいしたアーティストが現地に滞在し、人々との交流や地域の歴史・文化・暮らしに触れる中で制作活動を行うプログラムのこと。
 平成23年の東日本大震災後に創設された同社は、陸前高田市で「陸前高田AIR」を実施し、各地のアーティストらと市民とのアート交流を促進。令和2年度は「文化的なつながりを市外にも広げよう」と、プロジェクトのエリアを気仙3市町に拡大した。
 当初は、アーティストが気仙を実際に訪問してアート活動を行うことが想定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、試験的にリモートで展開。アーティストそれぞれの活動と現状、思いを内外に発信しようと、今回の中間発表の場が設けられた。
 参加したアーティストは、日本の小牟田悠介さんと山田悠さん、フィリピンのハイメ・パセナさん、ラトビアのアイガルス・ビクシェさんの4人。プロジェクトで共同ディレクターを務める越戸浩貴さん(35)=小友町=らも参加し、Web会議用アプリ「Zoom」で話し合う様子が動画配信サイト「YouTube」でライブ配信された。
 このうち、現代美術家の小牟田さんは、震災後に復活した気仙町のけんか七夕祭りからインスピレーションを受けたことや、本年度、高田高校で行った粘土作品の創作ワークショップのことなどを報告。ワークショップはリモートで行われ、現地で高校生と直接会えない中で行う作品づくりから新しいアートの可能性が感じられたことを伝えた。
 一方、映画作家のハイメさんは、震災後の同市を題材にした映像作品の構想について説明。まちの復興と人の心をリンクさせた物語のあらすじを語り、変化する被災地への思いをアーティストの視点で語った。
 同社は、2月中にも本年度のまとめとなる「KESEN AIR」の成果報告会を実施する予定。
 越戸さんは「震災から10年がたとうとしている中、新しいまちをつくる上で、こうした文化的な活動は一つ一つが大事な役割を持っていると思う。これからも交流が継続され、オンラインだからできること、アーティストの感性だからできることがまちの未来につながっていってほしい」と期待していた。