一般会計は183億円に 3年度当初予算案 復旧収束で現年度比7割減

 陸前高田市は24日、令和3年度の各種会計当初予算案を発表した。一般会計は183億8200万円で、現年度当初より487億3200万円(72・6%)の大幅減で、東日本大震災後最小規模。理由は震災後進めてきたハード整備がほぼ完了し、土木費の大幅減に加え、災害復旧費が盛り込まれていないためで、震災前に近づく予算規模となった。新規事業は22事業合わせて約13億円で、新市庁舎移転に伴う仮庁舎の解体工事やピーカンナッツ産業振興施設工事、配食サービス事業などを計上している。

 

きょう3月議会開会


 3年度は▽新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組むとともに、同市まちづくり総合計画の将来像「夢と希望と愛に満ち/次世代につなげる/共生と交流のまち 陸前高田」の創造を目指す▽国の第2期復興・創生期間初年度となり、心のケアなどのソフト事業を中心にきめ細やかな事業実施に努め、復興まちづくり、産業・なりわいの再生を推進する▽全職員が厳しい財政状況を認識し、特定財源の確保、限られた財源の最大限の有効活用を図る──の三つを方針に掲げて編成した。
 一般会計と6特別会計の合計額は242億4967万円で、現年度当初比490億7169万円(66・9%)の減。
 一般会計をみると、歳入の予算額で最も多いのは、地方交付税76億1153万円(現年度当初比54・3%減)。以下、国庫支出金21億3139万円(同81・1%減)、繰入金21億312万円(同92・6%減)、市税15億9626万円(同11・4%減)などと続く。コロナ禍の影響や復旧・復興事業の進ちょくなどで、ほぼ軒並み減となっている一方、寄付金は、ふるさと納税寄付金の増で現年度当初比3億2786万円増の8億3327万円の見込みとなっている。
 自主財源は52億1113万円で、現年度当初比269億7389万円(83・8%)の減、依存財源は131億7087万円で、同217億5810万円(62・3%)の減。
 歳入全体に占める自主財源の割合は28・4%で同19・6ポイント減、依存財源が71・6%で同19・6ポイント増。自主財源の割合減の主な理由は、震災復興交付金基金繰入金が9割以上減るため。
 財政調整基金は約16億円を積み増し、3年度末残高は約70億円の見通し。全会計の市債残高は3年度末で現年度末比4億4376万円減の178億7469万円で、市民一人当たりの残高は同1万8000円減の96万円となる見込み。
 歳出の予算額は、多い順に総務費57億3795万円(同8・2%増)、民生費34億2285万円(同5・1%減)、土木費20億5717万円(同94・1%減)、教育費17億1312万円(同10・3%減)──など。現年度当初150億2443万円を計上した災害復旧費は実質ゼロとなっている。
 まちづくり総合計画の計八つの基本目標ごとにみると、多い順に「市民にわかりやすく健全な行財政運営」に31事業計57億3366万円、「ともに支え、健康に暮らすまちづくり」に54事業計29億28万円、「快適に気持ちよく暮らすまちづくり」に47事業計27億5093万円などを計上している。基本目標のうち「復興の確実な推進と誰もが安心して暮らすまちづくり」は、ソフト事業を中心とした22事業4億6648万円で、現年度当初より事業数で34、予算額で502億4510万円のそれぞれ減となる。
 新規事業は▽ピーカンナッツ産業振興施設建設工事費6億円▽仮庁舎解体工事費2億8655万円▽今泉北地区野外音楽堂整備事業費補助金2億円▽グリーンスローモビリティ(グリスロ)関連経費2522万円──など。
 中心市街地に整備中の新市庁舎は、3月15日に完工し、5月6日から業務を開始する予定。仮庁舎の解体費は3年度中であれば震災復興特別交付税を充てられる見込みだが、残す場合は費用は自己負担となる。そのうえでこの間、利活用も検討してきたが、経年劣化が深刻で、具体的に利活用を希望する他機関・団体がなかったことから解体に踏み切る。
 特別会計の予算額は下水道事業5億3243万円(現年度当初比17・3%減)、農業集落排水事業6339万円(同4・4%減)、漁業集落排水事業9267万円(同19・6%増)、国保事業勘定21億9512万円(同4・2%減)、同診療施設勘定1億6680万円(同21・1%減)、後期高齢者医療2億4282万円(同2・4%増)、介護保険事業勘定25億5604万円(同4・0%減)、同介護サービス事業勘定1836万円(同7・6%増)となっている。
 一般会計当初予算は、震災前の22年度が約113億円、23年度が約108億円を計上。24年度から復旧・復興事業関連で増額して約660億円となり、25年度は約1019億円。26年度に約1293億円とピークに達した。予算額減は30年度から3年連続となる。
 各種会計予算案は、25日開会の市議会3月定例会に提出される。