大船渡に管弦楽の灯を 29日にデビューコンサート オーケストラを作る会(別写真あり)

▲ 高橋さん㊨、丹羽さん(左手前)の指導で29日のデビューコンサートに向け、練習に熱を入れるレッスン受講者たち

 大船渡市出身のピアニスト・桑原裕子さん=神奈川県相模原市=を中心に大船渡市内外の音楽愛好者らでつくり、昨年から初心者らがバイオリンとチェロの体験レッスンを行っている「大船渡にオーケストラを作る会」は29日(木)、盛町のリアスホールでデビューコンサートを開く。16~18日は講師のバイオリニスト・高橋宗芳さん=同県川崎市、チェロ奏者・丹羽あいりさん=東京都=も合流。大船渡に管弦楽の灯をともそうと練習に熱を入れている。

 

講師陣合流、練習に熱

 

 16日は当日の演奏者約40人のうち、13人が集まり、高橋さんと丹羽さんが伸び伸びとした腕や指先の使い方、音の強弱のつけ方を指導し、音を合わせた。
 同会は東日本大震災後、大船渡市などでチャリティーコンサートを開くなど復興支援を続けてきた桑原さんが発起人となり、気仙地区でも管弦楽器愛好者の輪を広げ、オーケストラの立ち上げを目指そうと昨年1月に発足。高橋さんが同6月から、丹羽さんが11月から毎月1回、3日間を基本に指導してきた。
 現在は気仙地区や内陸部などから地域を問わず、幼児から70代までの初心者約50人が継続的にレッスンに参加。コンサートは演奏者のうち初心者が約8割を占め、レッスンを重ねた成果を披露する。
 当日は午後3時開演(同2時30分開場)。2部構成で、1部は一部の受講者のソロ演奏と桑原さん、高橋さん、丹羽さんのプロ演奏で、2部に受講者が勢ぞろいし、童謡など6曲を披露する。入場無料で全席自由。
 昨年6月ごろからバイオリンのレッスンを続ける陸前高田市高田町の大久保仁さん(64)は長年、高校教諭として吹奏楽部の顧問を務めてきた。
 29日はヘンデルの『ソナタ』の一部をソロ演奏する。「以前からバイオリン、オーケストラをずっとやりたい気持ちがあり、練習する仲間を探していた。練習しているとなかなかうまくなれない壁に当たった時期もあったが、(講師の)先生についてもらうと、上達が違う。この年でもこのくらいやれるんだぞというところを見せたい」と意気込む。
 気仙でのオーケストラ誕生は、東海新報社の前代表取締役で、大船渡市のビッグバンド「サンド・パイパース・オーケストラ」の団長を務めた故・鈴木英彦氏にとっても長年の悲願で同会の発足を後押ししていたが、昨年1月に亡くなった。
 桑原さんは「音楽愛と郷土愛のバトンを受け取った」と奮い立ち、デビューコンサートを実現。「練習を見守ってくれている気がする」と話し、「弦楽器から管楽器に輪を広げ、大船渡にオーケストラを定着させたい」と見据える。
 問い合わせは桑原さん(℡090・5398・1511、メールofunato.orchestra2020@gmail.com)へ。