数量伸びず単価高騰 今季イサダ漁が終了 昨年実績は上回る 県内

▲ 今季の大船渡でのイサダ初水揚げ風景(3月4日)

 大船渡市魚市場での水揚げをはじめとした県沿岸のイサダ漁は、15日で終了した。大船渡の実績は数量、金額とも昨年を上回ったが、今年も4月の水揚げはほぼなかった。在庫薄などを反映し、平均単価はこれまでにない高値で推移した。
 イサダはツノナシオキアミの別称で、主に養殖や遊漁のエサとして流通。例年2月下旬から3月上旬に解禁され、漁況が良ければ4月末ごろまで水揚げが続く。
 水揚げされるカゴに入った桜色の魚体は、春の魚市場を色鮮やかに彩り、活気をもたらす。養殖用のエサや、レジャー向けとしての需要に加え、県内では近年、付加価値向上に向けた取り組みも進む。
 今季の大船渡での初水揚げは3月4日。初日、17隻が30㌔入りカゴ合わせて約4000個、計120㌧を水揚げした。
 同月中旬には200㌧を超える日も続いたが、3月末以降は激減。4月1日の1㌧弱を最後に、水揚げがなかった。4月の水揚げがほとんどない状態で終わったのは、2年連続となる。
 県水産技術センターの水産情報配信システムによると、県全体の実績は数量が2998㌧で、金額は6億3682万円。昨年比では数量は1・9倍、金額は4・5倍となった。
 このうち、大船渡は数量が1563㌧、金額は3億2761万円で、いずれも半数超を占めた。昨年比では数量は2・6倍、金額は5・3倍となった。
 大船渡の金額は4月にまとまった水揚げがあった一昨年を上回る規模。しかし、数量比較では3分の1にとどまる。今季の1㌔平均単価は200円台となり、業者の在庫薄などを反映し、一昨年の約50円、昨年の約100円を大きく上回った。
 今季操業した第二十一志和丸の船頭で、県沿岸漁船漁業組合の志田惠洋組合長理事=大船渡市赤崎町=は「津軽暖流が強いために、沖合で親潮が細く南下した。それでも、大船渡あたりで(暖流を)回り込んだ形でやや西に入る潮があったりして、他からみれば、親潮が弱い割には大船渡は恵まれたのではないか」と振り返る。
 そのうえで「もっと取れれば、沖に出た時に楽な操業ができる。水揚げ金が増えればいいという問題ではない。来期以降も見据えれば、どうなるのか不安にはなる」としている。