にぎわい育む憩いの場 川原川公園オープン 市が整備

▲ 陸前高田の自然環境などとの調和にも配慮された川原川公園が利用を開始

 陸前高田市が高田町の川原川両岸に整備した川原川公園は17日、一般の本格利用が始まった。市中心部を南北に貫流する同川は東日本大震災前、子どもたちの遊び場などとして親しまれ、花見やそり遊びなどを楽しめる憩いの場に生まれ変わった。県による河川改修工事も完了し、豊かな自然、文化を継承するとともに、にぎわいを育むランドマークとなりそうだ。

 

県の河川改修も完了

 

 17日はあいにくの雨で公園のオープニングセレモニーは中止となったが、園内を歩く親子連れなどの姿が見られた。
 高田町長砂出身の覚張あゆみさん(35)=米崎町=は、娘3人と傘を差しながら散歩。「小学生の時は友達と鬼ごっこをしたり、川辺で遊んだり楽しい思い出が詰まっている」と懐かしむ。
 公園内を見渡し「すごく立派で景観もいい。イベントなどでたくさんの人が集まる場所となればいいですね」と期待を込めた。三女の咲月さん(米崎小2年)は「川で魚を見つけたい。またみんなで遊びに来たいな」と、にっこり笑った。
 川原川は、氷上山と広田湾をつなぐ流路延長7・6㌔。震災で甚大な被害を受けた市街地一帯は、市によるかさ上げ工事が進められ、同川は高田地区のまちづくりと足並みをそろえた「自然、文化、記憶の継承の軸」と位置づけ、県が河川改修工事を、市が公園整備を一体となって行うこととした。
 河川改修は、平成24年度に着手。施工延長は約1・2㌔、事業費は約19億円で、流路は震災前とほぼ同じ。川幅は11~27㍍で、30年に1回程度の降雨で発生する洪水にも対応するため、最大で2倍ほど拡幅した。
 園路から河原に降りられる階段と、水面(みなも)近くを歩いて渡れる木製の「潜り橋」を5カ所ずつ設置。護岸の高さは川底から2・6~3・8㍍で、一部でかつての石垣を再現した。施工区間の上流部では「風景の記憶」として、津波に耐えた川沿いのケヤキの木などを残した。
 一方、公園整備は平成31年度に始まった。広さは約3・9㌶、事業費は約13億2000万円。サクラの花見を楽しめる広場やそり遊びができるなだらかなのり面、氷上山にちなんだ丘などがあり、津波をかぶった石を使い、ベンチとして各所に設けた。
 県沿岸広域振興局大船渡土木センター河川港湾課の柴田秀則課長は「地域住民をはじめ多くの人に利用してもらい、親しみある場となっていってほしい」と話した。