道路改良が予算化 県道釜石住田線 上有住地内の延長900㍍

▲ 長年にわたって改良が求められてきた通称「おどし」付近

 一般県道釜石住田線のうち、住田町を走る上有住中埣─金の倉間(延長900㍍)の道路改良が、県の本年度当初予算に計上された。同線は地域住民が日常的に利用する重要な路線となっている一方、幅員狭小、急カーブ、大雨の際に冠水する箇所があるなど、早期の改良が要望されていた。県では当初予算に15億5000万円を計上しており、本年度は測量設計、令和4年度に用地買収を行い、5年度から10年度にかけての工事を計画。町内の観光スポットである上有住の滝観洞へのアクセスや地域住民の交通利便性の向上へと期待が高まる。

 

悲願実現へ第一歩 冠水や幅員狭小など解消へ

 

 県道釜石住田線は、釜石市を起点、住田町を終点とする延長24・6㌔の一般県道。昭和51年に県道として路線認定され、これまでに上有住の土倉─中埣間1・8㌔、金の倉─山脈地間3・4㌔が整備されてきた。
 同線は、地域の集落間を結ぶ生活道路としてだけでなく、滝観洞へのアクセス道としても利用されている。復興支援道路でもある国道283号仙人峠道路へ滝観洞インターチェンジによって接続しており、被災地の復興にも貢献。
 しかし、未改良区間は狭くてカーブが多く、大型車のすれ違いもできないなど、通行に支障をきたしており、特にも、中埣─金の倉間は交通難所としてあり続ける。
 今回予算化された区間の中には、住民らに「おどし」と呼ばれている場所がある。
 交通環境が十分に整備されていなかった時代、山から切り出した木は、川の流れを利用して下流まで運ばれていた。川の水を一度せき止めて、そこから一気に放流することで水量とそのいきおいを利用して木材を下流に「落とす」──。その川をせき止める箇所だったことから「おどし」(落とし)と呼ばれているといい、急カーブ、幅員狭小、さらには道路と川が近いことから豪雨のたびに冠水し、長年にわたって県に改良を求める声が寄せられ続けてきた。
 町側でも、主要幹線道路の整備促進の一つとして釜石住田線の道路改良を求め続けており、地元住民から整備促進の要望書が提出された経緯もある。今回の道路改良予算化を、地域住民らも「大きな一歩だ」と喜ぶ。
 詳細設計はこれからだが、幅員に関しては最小で4・2㍍の現道が、改良後には片側3㍍ずつの6㍍に統一となる。「おどし」付近は河川流量などを勘案しながら、かさ上げも施して冠水を解消する計画。
 県沿岸広域振興局大船渡土木センターの古舘衛道路整備課長は「台風10号でも冠水して、一時は集落が孤立したとも聞いている。改良整備によって台風などの際でも通行に支障が出ないような道路にしたい。滝観洞へのアクセス性、生活道路としての利便性向上にも寄与できれば」と話している。