入梅時期にも特別採捕 初日はマイワシ9㌧水揚げ 小型サンマ船が市魚市場に(別写真あり)

▲ 大船渡市魚市場に水揚げされたマイワシ

 大船渡市魚市場に12日、小型サンマ船による特別採捕のマイワシ約9㌧が水揚げされた。これまでは、秋から冬にかけての操業が多かったが、今季はイワシの北上時期である6~7月にも認められ、安定的に操業できるかなどを把握する。手探りの面はあるものの、関係者は今後のまとまった漁に期待を込める。
 特別採捕は、試験・研究を目的とする場合に特別に県知事が許可するもの。平成31年3月、気仙地区の漁船漁業者有志から県沿岸漁船漁業組合に対してマイワシ漁獲に対する請願書が提出され、同組合がこれを受けて県や県漁連に働きかけを行った結果、特別採捕が許可され、令和元年10月から試験的に操業が行われてきた。
 今回の期間は今月11日から7月末までで、操業日は25日以下。5㌧以上20㌧未満の小型船で、集魚灯を使って漁獲する「火光利用敷網漁」と、群れの下にタモを設置して魚をすくう「タモ網漁」の2種類が対象となっている。
 一昨年、昨年は秋から冬にかけての操業が目立った。イワシは年間を通じて漁獲があるが、梅雨時のイワシは「入梅イワシ」などと呼ばれ、人気があるという。巻き網船団体などとの折り合いがつき、6月から7月にかけての試験操業が認められた。
 12日は、前日夜に綾里漁港を出港し、首崎の東沖で操業した小型サンマ船の「第八隆盛丸」(19㌧)がマイワシ8・6㌧を水揚げした。1㌔当たり43・8円で取引され、冷凍加工後、全国各地に流通されるという。
 千田喜一船長は「われわれのような仕事にも、新型コロナウイルスの影響が及んでいる。どこまで取れるかやってみないと分からないが、イサダが終わり、サンマに入る前に操業できるのはありがたい」と話していた。
 ここ数年、サンマやスルメイカなど漁船漁業の主力となる魚種の不漁が続く一方、資源量が豊富なマイワシが代替魚種として注目を集める。同市魚市場の昨年度実績をみると、数量は全体の4割を超える1万4974㌧で、前年度を23・7%上回った。
 国立研究開発法人水産研究・教育機構が3月に発表した「いわし類長期漁海況予報」によると、4~7月のマイワシ来遊量は、三陸海域では前年並みか前年を上回る見込みとなっている。
 県沿岸漁船漁業組合の志田惠洋組合長理事(赤崎町)は「県や水産庁などに理解をいただいて、この時期にも試験操業ができるようになって感謝している。今後も、漁船漁業を守っていくためにも、がんばっていきたい」と話す。