住田町長選/〝無風〟の気配色濃く 7月13日の告示まで1カ月 出馬表明は現職・神田氏のみ

神田謙一氏

 任期満了に伴う住田町長選は、告示まで1カ月となった。現時点で出馬を表明しているのは1期目の現職・神田謙一氏(62)=下有住=のみ。対抗馬擁立に向けた動きは見られず、〝無風〟の気配が色濃くなっている。こうした中、町選挙管理委員会(泉田静夫委員長)は22日(火)、町役場町民ホールで立候補予定者説明会を開く。出席者の顔ぶれが注目される。


 今町長選は、8月4日(水)の任期満了に伴うもの。昭和30年の町制施行以来18回目で、7月13日(火)告示、同18日(日)投開票の日程が組まれている。
 現職の神田氏は、日本獣医畜産大学大学院修士課程修了。昭和59年に住田町農協に入り、合併した陸前高田市農協を経て、平成19年に住田フーズ㈱取締役生産部長、24年に同社常務取締役に就いた。
 4期を務めた多田欣一氏=世田米=が勇退を表明し、16年ぶりに「新リーダー」を選ぶこととなった平成29年の町長選に初出馬。町議を辞して臨んだ水野英哉氏(65)=上有住=との一騎打ちを144票差という僅差で制し、初当選した。
 神田氏は就任後、「住民生活の基本である『医・食・住』の充実」を掲げて町政運営に取り組み、各分野で独自カラーを打ち出している。一方、木工団地2事業体の破産問題を巡っては、合わせて約13億円にものぼる町の債権回収に向け、昨年10月、両事業体の連帯保証人とその相続人計19人に対して融資の未返済分や利息、遅延損害金合わせて約10億5000万円の支払いを求める訴訟を盛岡地裁一関支部に提起した。
 訴訟ではこれまでに、被告男性1人には支払い命令の判決が下されたが、このほかの被告は請求棄却を求めて争う姿勢をみせている。結審までには長い時間を要するとみられる中、町のトップには今後、融資判断の根拠や妥当性、結果責任など一連の問題を総括して町民に説明を果たしていく姿勢が求められる。
 同町ではこのほか、毎年約100人ペースで続く人口減少、農業者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、従前からの課題が山積。新型コロナウイルスの感染拡大防止や事業者支援、ワクチン接種にかかる医療体制強化などの対策も喫緊の課題だ。
 こうした状況下、町長選を巡っては現在、神田氏以外に起意や擁立の動きはなく、無競争の公算が大きい。このまま対抗馬が現れなければ、平成25年の前々回選以来の無投票となる。
 神田氏は政党、団体への推薦要請はせずに無所属で出馬する意向。「〝住民党〟で臨む」と語っており、1期目で掲げた医・食・住の各種施策に加え、林業振興に引き続き取り組んでいく意欲を示している。
 後援会(泉金一会長)は組織を再編せず、前回選時の体制を基本とするが、町議を含めて新たな支持者も増えている。新型ウイルスの影響で後援会としての集まりも制限されているが、告示まで1カ月に迫り、今後は感染対策を講じたうえで事務所開きを行うなど、選挙への準備態勢固めに万全を期す。
 今月1日現在の同町の有権者数は4602人(男2249人、女2353人)。前回選投開票日と比べて430人少ない。