椿サミット 無念の中止 実行委で決定 新型ウイルス感染拡大受け

▲ 全国椿サミットの開催中止を決めた実行委員会

 全国椿サミット大船渡大会第6回実行委員会(会長・戸田公明市長、16人)は26日、同市役所で開かれ、3月19日(土)と20日(日)に市内で開催を予定していた同大会の中止を決めた。新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受け「感染者数の見当がつかない」「大会を安全に実施できる根拠がない」などが理由。大船渡大会は東日本大震災の影響で平成23年の開催も断念しており、2度目の「苦渋の決断」となった。
 委員14人が出席。冒頭、戸田市長は「コロナの影響が収束し、お迎えできるものと思っていたが、オミクロン株急拡大に伴い、全国でまん延防止等重点措置がとられるなど状況が一変している。今後の方向性を検討したい」と述べた。
 当初から1月の実行委開催を予定していたが、この日は議題内容を変更し、大船渡大会開催の可否を協議。事務局は感染拡大を受け、事業計画通りの実施が難しい状況から中止を提案。委員から異論は出なかった。
 説明によると、全国で今後も感染の急拡大が継続する恐れがあり、大会開催期間中の感染者数の見当がつかない状況を考慮。政府から、ワクチン・検査パッケージ制度を当面停止する方針が出され、イベントや飲食など行動制限がかけられたことで、現時点で大会を安全に実施ができる根拠がない点も踏まえた。
 すでに参加を申し込んでいたのは、全国サミット協議会加盟の12自治体27人をはじめ約200人。まん延防止等重点措置が各都道府県でとられ、今後は辞退も予想される中、移動費用のキャンセル料金などが発生しない現段階での決断に至った。
 さらに、県独自の緊急事態宣言発令を受け、感染拡大地域からの往来を極力控えるよう求められている。「感染状況が収束しないまま大会を実施した場合、全国各地からの人流により、参加者や関係者間で感染拡大し、ひいては市民生活へ影響を与える可能性がある」も理由に挙げた。
 今後は申込者に中止を通知し、観光パンフレットや復興記録誌を送付。サミットで放映を予定していた動画をインターネット上で視聴できるよう準備を進め、用意した土産品も贈る。
 来年度、再来年度の開催に関しては、すでに県外の他市が誘致の意向を表明。協議では「1年ずらしての開催も一考では」との声も出たが、事務局側はすでに他市では予算確保に動いている状況を明かし、難色を示した。
 全国椿サミットは年に1回、同サミット協議会に加入する市町村の持ち回りで開催。ツバキを市花とする大船渡では、平成11年度に第10回会場として初めて開催された。22年度には2度目となる第21回が予定されていたが、開催を8日後に控えた23年3月11日に東日本大震災が発生し、中止を余儀なくされた。
 震災発生から10年が過ぎ、市は復興した姿を発信するとともに、これまで寄せられた支援への感謝も込めて盛り上げていこうと、第32回の開催に向けて令和2年6月に実行委員会を設立。リアスホールを中心とした初日の催事や、市内各地を巡る2日目の視察行程などを固めていた。令和元年度は長崎県五島市で、2年度は島根県松江市で予定していたが新型ウイルスの影響で見送りとなり、3年連続の中止となる。