3年6カ月ぶりに入港 クルーズ客船「にっぽん丸」 野々田ふ頭で歓迎多彩に(別写真あり)

▲ 令和に入って初となる大船渡入港を果たした「にっぽん丸」
大船渡商議所女性会メンバーが太鼓で歓迎(電子新聞に別写真あり)

 商船三井客船㈱(東京都)が所有するクルーズ客船「にっぽん丸」が30日、大船渡港に入港した。平成30年9月以来3年6カ月ぶりの入港で、新型コロナウイルスの影響が続く中、クルーズ客船自体も約1年ぶり。接岸した野々田ふ頭では、大船渡商工会議所女性会による太鼓演奏など、感染防止策を講じながら手作り感あふれる歓迎を繰り広げ、乗船客を喜ばせた。
 「にっぽん丸」は早朝の澄んだ空気の中、養殖棚や島々の間をすべるように航行。岸壁では、大船渡つばき娘や市の関係者らが歓迎の横断幕を掲げながら手を振り続け、乗船客も続々とデッキなどに姿を見せた。
 接岸後はオープニングアトラクションとして、商議所女性会が息の合った演奏を披露。新型ウイルスの影響を乗り越え、歓迎できる喜びを込めながら音色を響かせた。
 メンバーの一人で、中太鼓を担った佐々木貴利子さん(53)は「久しぶりに客船が来てくれて、ありがたい。太鼓を通じて、少しでも多くの方々を元気づけたい。女性会の太鼓メンバーも、もっと増えてくれれば」と語り、笑顔を見せた。
 船から下りた乗船客は、観光バスやタクシーに乗り、県内の観光地に向かった。平泉や三陸鉄道に乗車するツアーも組まれた。
 東京都練馬区在住で、東日本大震災後初めて大船渡に来たという伊原圭一郎さん(86)とよう子さん(80)夫妻は「復興して、だいぶきれいになった。奇跡の一本松を見学したり、三陸鉄道に乗車するのを楽しみにしてきた」と話していた。
 岸壁では、乗船客向けに酒類や飲食物などの販売コーナーも設置。感染防止のため、コロナ禍前よりも規模を縮小しての運営となったが、出港時には「寄港御礼アトラクション」も行うなどして、来訪への感謝を伝えた。
 「にっぽん丸」は総トン数2万2472㌧、全長166・6㍍、全幅24㍍、船客定員532人。今回は㈱三越伊勢丹ニッコウトラベル社のチャータークルーズで、横浜港を発着する5泊6日の「にっぽん丸で紡ぐ10年の物語 春の函館・八戸・大船渡」の一環。約140人の乗客を乗せ、北海道の室蘭から入った。
 同船の大船渡への入港は、JAおおふなとが平成30年9月に創立50周年記念で企画した同港発着のチャータークルーズ以来で、通算22回目。
 大船渡港には5月7日(土)にも寄港予定。昨年4月11日以来寄港が遠ざかっている大型クルーズ客船「飛鳥Ⅱ」(郵船クルーズ㈱所有)も、4月30日(土)と6月12日(日)に訪れる。