地域交付金制度 本年度も 全11地区に最大500万円 6月に活用例の報告会開催

▲ 6月のコミュニティ推進協議会連合会総会で、交付金の活用例を共有する予定(3年度の様子)

 陸前高田市は本年度も、市内11地区のコミュニティ推進協議会に最大500万円ずつ交付する地域交付金事業を行う。ハード・ソフト両面で活用できる自由度の高さが特徴で、昨年11月〜今年1月に各地区で開かれた市政懇談会でも地域側から事業の継続を求める声が多数聞かれた。6月には各推進協議会役員が集まる会合で、各地区の活用事例を参考としてもらう報告会を行う。(高橋 信)

 

 横田地区は昨年度、地区主導で取り組む移動サービスの運営費や敬老行事の記念品購入費などに活用。本年度については今後具体的に決めるが、現時点でコミセン敷地内の草刈りや植木剪定の業務委託、ごみステーション整備などの費用に充てる見込みという。
 交付金の使い道を決める手法は、地区によってさまざま。横田地区の場合、町内8行政区から要望を吸い上げ、地区推進協議会役員会で協議したうえ、市に申請している。
 同地区の渡辺雅史事務局長(58)は「有効に使っているかどうかは、行政区によって差があるのが課題。コロナで休止していたイベントの運営費に充てるなどして地域活性化につなげたい」と話した。
 交付金制度は、各地域が地域課題の解決に自ら積極的に取り組み、持続性の高い活力あるコミュニティー形成を図ろうと、令和元年8月に創設した。
 市によると、初年度の元年度は11地区で計78事業に充てられ、交付額は5123万円。2年度の実績は105事業の約5470万円で、執行率99・5%と全地区がほぼ満額を使った。
 3年度も100を超える事業が展開されたといい、各地区の役員が6月の市コミュニティ推進協議会連合会総会で活用例を報告する。その後、市は同年度版事例集を市ホームページに掲載する予定。
 昨年度の市政懇談会では「これからも事業を続けてほしい」などとの要望が相次いだ。道路側溝の整備など、身近な課題に迅速に対応できるとして好評を博している。
 一方で、あるコミセン役員は「数年間かけて整備したい事業にも使えればいい。いつまで事業を続けるのか具体的な見通しも示してもらえるとありがたい」と注文する。
 市は3月、誰もが安心して暮らし続けられるまちを目指し、「市協働のまちづくり指針」を策定。地域交付金制度を通じ、自ら積極的に地域課題の解決に取り組む機運醸成を図り、協働のまちづくりを推進していきたい考えだ。
 市市民協働部の山田壮史部長は「協働のまちづくり指針を策定したことも踏まえ、活力ある地域づくりに自主的に取り組んでもらうため交付金を活用してもらいたい」と話している。
 市は基本的に偶数月に各地区からの交付申請を受け付けている。問い合わせは、市まちづくり推進課(℡54・2111内線122)へ。