2年半ぶりの再会喜ぶ せきれいと祥風苑 オンラインで朗読交流会(別写真あり)

▲ 最後に手を振って再会を誓う「せきれい」の会員ら

 大船渡市盛町の市総合福祉センター内で「声の福祉図書館」を運営するボランティアグループ「せきれい」(金野聰子会長)は24日、猪川町の養護(盲)老人ホーム「祥風苑」(崎山美知枝施設長)の入所者らとオンラインでの朗読交流会を開いた。新型コロナウイルスの影響で約2年半の間休止が続いていたもので、同グループの会員と入所者らが画面越しの再会を喜び合った。
 昭和63年に設立し、視覚障害者のための「声の福祉図書館」を運営する「せきれい」。平成5年からは、会員が新聞記事、物語、詩・短歌をCDなどに録音した「声の雑誌『せきれい』」を、同施設などに毎月届ける活動を続ける。
 同15年からは、会員が同施設を訪問して入所者に直接声を届ける対面朗読をスタート。感染症等の関係で施設への出入りが難しくなる冬の期間を除いて毎月開催し、入所者の希望に応じて詩やエッセー、新聞記事などを読み聞かせしていたが、インフルエンザの流行期に新型ウイルスの感染拡大が重なり、令和2年1月から休止が続いていた。
 会員と入所者が積極的にスキンシップを図るなど、貴重な触れ合いの場となっていた対面朗読。同施設では、コロナ禍で直接会うことが難しい状況での交流方法を模索し、オンラインでの開催を提案。会員らも「何とか交流を継続したい」と両者の思いが合致し、画面越しでの朗読交流という初の試みが実現した。
 同日は会員7人が集まり、同センターと祥風苑をオンラインでつないだ。対面朗読の最初に必ず行っている、その月の入所者の誕生日を祝う『ハッピーバースデートゥーユー』を歌って幕開けし、お互いの近況を報告しながら、詩の朗読や手遊びなどで盛り上がった。30分という短い時間だったが、名前を呼び合って会話をしたり、入所者のリクエストに応える場面もあり、休止期間を感じさせない和やかな雰囲気が広がった。
 入所者と顔を合わせ、声を聞き、涙を浮かべる会員の姿も。「顔を見られてうれしかった」「コロナが終わったら必ず行くからね」と呼びかけ、施設での再会を誓っていた。
 金野会長(83)は「皆さんの姿を見ることができ、リモートでもこうした機会をいただけてありがたかった。早く対面朗読や交流ができる日常が戻ってほしい」と願った。