2度目の挑戦で栄冠 美野君(大船渡東)が最高賞 全国商業高校英語スピーチコンテスト 3分半に思い込める

▲ 英語スピーチコンテストで全国1位に輝いた美野君

 令和4年度第39回全国商業高校英語スピーチコンテストのスピーチ部門に県代表として出場した、県立大船渡東高校情報処理科の美野航南君(3年)が、「The 4—Minute Mile(1マイル4分)」と題したスピーチで最高賞となる文部科学大臣賞と最優秀賞に輝いた。昨年度の全国大会で入賞できなかった悔しさを力に変えて栄冠を勝ち取った美野君は、指導してくれた教諭や家族らと喜びを分かち合っている。(菅野弘大)

 

 大会は、レシテーション(暗唱)とスピーチの2部門に、全国の代表者が出場。生徒自ら原稿を考え、持ち時間の3分30秒以内に暗唱するスピーチ部門に臨んだ美野君は、7月に宮古市で開かれた県大会を連覇して2年連続の全国大会に挑んだ。
 東京都の明治学院大学で開かれた全国大会は、予選と上位12人での決勝で争った。
 予選で39番目に登壇した美野君は「ほかの人のスピーチを聞いてとても緊張していた」というが、感情豊かに抑揚をつけて発表し決勝へ。練習よりも少し時間はかかったが「決勝は自然体で臨めた」と持ち時間ぴったりで発表を終えた。
 美野君のスピーチは、1マイル(1・6㌔)を4分以内で走ることが不可能と思われていた中、1954年にイギリスのロジャー・バニスター氏が3分59秒という記録を打ち立て、その後多くのランナーが達成できるようになったところから着想を得た。
 岩手出身の大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手やプロ野球・千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手の活躍などを引き合いに出しながら、壁を破ることで多くの人に影響を与えるとし、「尊敬する人を見つけ、いつかあなたが尊敬される人になることを目指そう。あなたが壁を破ることで、誰かの人生を変えるかもしれない」と結んだ。
 カナダ人の父と日本人の母を持ち、家庭での会話はほとんどが英語。今年4月ごろからスピーチを考え、学校や自宅などで練習を重ねた。一度内容を覚えてしまえば、フレーズを忘れることもなく、自然な話し方でスピーチできる強みも生かし「強弱やイントネーションはもちろん、自分の思いを伝えることを一番に意識した」と振り返る。
 結果発表では、1位で最後に名前を呼ばれた。昨年度も県代表として全国大会に出場し、「ゲームはアートとして認められるべきか」という内容のスピーチを行ったが、惜しくも入賞を逃した。「『これでだめならしょうがない』と思えるほど力を出し切った。名前を呼ばれて、安心と達成感が入り交じった気持ち」と喜んだ。
 高校卒業後は進学を希望する美野君。「英語を将来の何かに生かせれば」と次のステージを見据える。