2023知事選/千葉、達増両氏による争いか 告示まで2カ月切る 与野党対決の構図に  

 任期満了に伴う知事選は、8月17日(木)告示、9月3日(日)投票の日程で行われる。告示まで2カ月を切った現時点で出馬を予定しているのは、表明順に前県議の新人・千葉絢子氏(44)=盛岡市=と、4期目の現職・達増拓也氏(59)=同=の2人。令和元年の前回選と同様、新人と現職による争いとなる見通しで、実質的な与野党対決の様相を呈す中、さらに前哨戦が活発化していくとみられる。(三浦佳恵)

 

 千葉氏は、平泉町出身で慶応大学卒。県内のテレビ局で報道記者兼アナウンサーを務めたあと、フリーアナウンサーに転身。平成27年の県議選に立候補し、初当選した。
 昨年12月に会見を開き、「岩手に今生きている人たちのために、停滞したムードや諦めを、本当の意味での希望と満足、幸福につなげていきたい」と、県議を2期目で辞して立候補を表明。無所属で臨み、政党への推薦要請は行わないものの、自民党県連と公明党県本部が支援している。
 今年2月には、知事選に向けて超党派の政治団体「新しい岩手をつくる会」の代表に就任。5月には、知事選・県議選の共通公約として、同会との共通政策「令和いわて大県構想」を発表し、若年への就職支援や子育て支援、農林水産業・中小企業への支援強化、災害に強い県土の構築などに取り組む意欲を示した。
 表明後は同会の代表として、同会に名を連ねる国会議員や県議選立候補予定者らとも連動しながら各地で積極的な前哨戦を進める。気仙にもあいさつ回りや街頭活動などで足を運び、元アナウンサーとしての知名度も生かしながら支持拡大を図っている。
 一方の達増氏は、盛岡市出身で東京大学卒。外務省職員、衆議院議員を経て平成19年の知事選に民主党推薦で出馬し、初当選した。
 前回選は、立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党が推薦する〝統一候補〟として無所属で立候補。自民、公明両党が推薦した新人との一騎打ちを24万票余りの大差で制した。
 2月の県議会定例会で、「県民が本来持っている力を発揮し、困難を乗り越え、希望をかなえられる環境を整備していくため、先頭に立ちたい」と出馬を表明。無所属で臨み、〝県民党〟として支持を広げていく考えで、野党4党には推薦を求めず協力体制を構築。政治団体「希望郷いわてを実現する会」とも連動する。
 現職として、本年度から人口減少対策を最優先とした「いわて県民計画・第2期アクションプラン」を推進。県民をエンパワー(力づける)するための子育て支援、デジタルを活用した暮らし向上や産業振興、安全・安心な地域づくりなどを掲げる。
 協力を求める政党や団体の会合などに出席しているが、公務を優先。気仙には陸前高田市での全国植樹祭などで訪れ、現職としての存在感を示した。
 千葉氏、達増氏ともに「政党からの推薦は受けない」としているが、千葉氏には与党、達増氏には野党が支援にまわり、実質的な与野党対決となっている。この構図は前回選と同じだが、その後の国政選挙をみると、一昨年の衆院選は気仙を含む2区と、花巻、奥州、一関各市などの3区で、昨年の参院選は選挙区で、それぞれ自民候補が勝利し、野党統一候補が敗北。長く野党が上回ってきた勢力図に変化が生じており、今後の選挙戦にどう影響していくかが注視される。
 6月1日現在の有権者数は、大船渡市が2万9235人(男1万3924人、女1万5311人)、陸前高田市が1万5817人(男7631人、女8186人)、住田町が4339人(男2124人、女2215人)。全県は102万2262人(男48万9505人、女53万2757人)。写真の並びは右から表明順。