2023知事選/千葉氏と達増氏の一騎打ちか 告示まで1カ月切る 両陣営とも臨戦態勢へ

 任期満了に伴う知事選は、8月17日(木)の告示まで1カ月を切った。現時点で出馬を予定しているのは、表明順に前県議の新人・千葉絢子氏(44)=盛岡市=と、4期目の現職・達増拓也氏(59)=同=の2人で、令和元年の前回選と同様、新人と現職の一騎打ちとなる公算が大きい。いずれの陣営も事務所開きや選対本部設置を済ませるなど臨戦態勢を整えており、気仙をはじめとする集票の行方に注目が集まる。(三浦佳恵)


 千葉氏は昨年12月、県議を2期目で辞して立候補を表明。無所属で臨むとし、政党への推薦要請は行わないものの、自民党県連と公明党県本部、県議会会派の「いわて県民クラブ」が支援にまわる。
 今年2月には、知事選に向けて超党派の政治団体「新しい岩手をつくる会」を設立。同会代表として、会に名を連ねる国会議員や県議選立候補予定者らとも連動し、県内各地で対話の場を設け、街頭活動なども積極的に展開。元アナウンサーとしての知名度も生かしながら、無党派層に向けても支持の広がりを図る。
 気仙では、鈴木俊一財務相(衆院岩手2区)の地区後援会(鎌田和昭会長)や自民党各支部などが支える。県議選への立候補を表明している3期目の現職・佐々木茂光氏(65)=陸前高田市気仙町、新人の畠山恵美子氏(52)=同市横田町=とも連動する。
 5月には、知事選・県議選の共通公約として同会との共通政策「令和いわて大県構想」を発表。「100年先も岩手で家族を育み、一生にわたって安心して暮らしていける岩手」を目指す姿に掲げ、▽ヒト▽所得▽教育▽暮らし▽なりわい▽新産業──の6分野を基本政策に設定した。
 結婚や出産、育児などの費用に対する経済支援、中小企業や農林水産業の所得向上などへの支援強化、災害に強い県土の構築などを盛り込んでいる。
 千葉氏は「女性で初めて岩手のリーダーを目指す」と、女性、母親としての視点も生かした政策を強調。「女性の声を県政に生かし、国としっかりとつないでいくような仕組みをつくる」と訴える。
 一方の達増氏は、今年2月に5選への出馬を表明。無所属で臨み、前回選は〝統一候補〟として推薦を受けた立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党とは協力体制を構築するにとどめ、政治団体「希望郷いわてを実現する会」と連動。〝オール岩手〟による「県民党」として戦う考えを打ち出す。
 出馬表明後は公務を優先し、4期目現職としての存在感を示す。その合間を縫って協力政党や団体の会合に出席し、支持者らとの対話も行っている。今月13日には盛岡市内で県民集会も開き、支持拡大を訴えた。
 気仙では、先月末に党派や組織を超えた大船渡市などの有志による「支援する会」(菅野吉郎代表幹事)、今月には後援会気仙支部(支部長・林﨑幸正住田町議)が設立。県議選への出馬を予定する1期目の現職・千葉盛氏(40)=大船渡市猪川町=とも連動する。
 11日には、選挙公約「希望郷いわて、その先へ。マニフェストプラス39」を発表。本年度から展開する「いわて県民計画・第2期アクションプラン」の追加政策に位置付け、▽はぐくむ▽いきる▽はたらく▽つながる▽まもる▽ひらく──からなる六つのアクションと、行政経営に関する「ささえる」で構成する。
 全国トップクラスの子育て支援策拡充、中小企業や農林水産業の振興、三陸振興に向けた「まちづくり会社」の設立などを掲げる。
 達増氏は「岩手県で5期目の知事は、歴史上初めてになる」と話し、新たな県政への挑戦に意欲。「今までにない知事と県民の関係を築きながら、新たな岩手の発展を期していく」と力を込める。
 今知事選は実質的な与野党対決の構図となり、気仙でも前哨戦が徐々に活発化。集票地図には、自民候補が野党統一候補を下した一昨年の衆院選2、3区、昨年の参院選選挙区と重なる部分が見られる。一方で、この二つの選挙や政党、組織などに寄らない支持の動きも見られ、票集めにどこまで影響するか注視される。
 県選挙管理委員会は18日、盛岡市の県庁で知事選の立候補届出等説明会を開く。投票は、県議選、陸前高田市議選と同じ9月3日(日)に行われる。
 6月1日現在の有権者数は、大船渡市が2万9235人(男1万3924人、女1万5311人)、陸前高田市が1万5817人(男7631人、女8186人)、住田町が4339人(男2124人、女2215人)。全県は102万2262人(男48万9505人、女53万2757人)。写真の並びは右から表明順。