2023知事選/あす投票 次の県政リーダーは 気仙の終盤情勢

▲ 先月17日からの選挙戦を繰り広げてきた知事選も残り1日となり、あす投票を迎える

達増氏…実績強調し幅広く浸透
千葉氏…刷新訴え追い上げ図る

 

 8月17日に告示された知事選は、県議選、陸前高田市議選と合わせて今月3日(日)に投開票が行われる。届け出順に、無所属で5期目を目指す現職・達増拓也氏(59)=盛岡市=と、無所属の新人・千葉絢子氏(45)=同=が立候補しており、一騎打ちの戦いを繰り広げている。気仙の情勢は、達増氏が4期16年の実績を強調して幅広く浸透し、千葉氏は県政の刷新を訴えて追い上げを図っている。投票日まで残り1日となる中、投票先を決めていない有権者の動向など流動的な部分もあり、両陣営では支持層の拡大に最後の追い込みをかけている。


 東海新報社は8月28~30日、期日前投票での出口調査(大船渡市役所本庁、陸前高田市役所、住田町役場)を実施。この結果と、前哨戦からの取材を加味して終盤の情勢を分析した。
 市町別では、大船渡、陸前高田両市で達増氏が浸透を広げる。住田町では、同氏と千葉氏が激しく競り合う展開となっている。
 達増氏は令和元年の前回選、〝統一候補〟として立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党から推薦を受けたが、今回は支持や支援を受けるにとどめ、「県民党」として臨戦。職域団体などから多くの支援、推薦も受けて厚い支持基盤を構築した。
 気仙では、元参議院議員の藤原良信氏、後援会気仙支部(支部長・林﨑幸正住田町議)、有志による「支援する会」(菅野吉郎代表幹事)などが支える。同日選の県議選に立候補している現職・千葉盛氏(40)=大船渡選挙区・1期、大船渡市猪川町=が支持する。
 告示後は、先月20日と27日に気仙入りし、自ら県政の継続を訴えた。20日には、立憲民主の岡田克也幹事長、共産の小池晃書記局長が応援演説を行い、〝野党共闘〟をアピールしながら支持を求めた。
 現職としての知名度や、これまでの支持基盤のつながりを生かし、世代を超えて浸透。女性層を多く取り込んでいる。
 野党4党に加え、一部の自民支持層にも食い込むなど、政党を超えた広がりが見られる。無党派層からの支持も多く集めている。
 一方の千葉氏は、政党への推薦要請は行わなかったが、自民党県連が全面支援し、公明党県本部が支持。今年2月には、今選挙に向けて超党派の政治団体「新しい岩手をつくる会」を設立し、会の代表として県内各地で前哨戦を展開した。
 気仙では、鈴木俊一財務相(衆院岩手2区)の地区後援会(鎌田和昭会長)、自民党各支部などが支援。県議選に立候補している前陸前高田市議の新人・畠山恵美子氏(52)=同市横田町、自民党県連推薦、現職・佐々木茂光氏(65)=陸前高田選挙区・3期、同市気仙町、自民党県連公認=とも連動する。
 告示後は、先月22日と今月1日に気仙を遊説。22日は応援に駆けつけた鈴木財務相と3市町を巡り、国政との強いつながりも示しながら、県政の刷新と支持拡大に力を込めた。
 前哨戦での地域回りやアナウンサーとしての知名度から、各世代で一定の支持を集めるものの、60代以上は水をあけられている。
 政党別では、自民、公明の支持層に広く浸透。立憲民主や共産の一部からも支持があるが、無党派層への広がりには伸びを欠く。
 今知事選では、県議選候補者との連動も目立つ。達増氏は千葉盛氏への期日前投票者から多くの支持を集め、畠山氏、佐々木氏の支持層にも浸透を図っている。千葉氏は畠山氏に投票した有権者の支持割合が高く、佐々木氏、千葉盛氏の投票者にも一定の食い込みが見られる。
 事実上の与野党対決でもある今知事選。一昨年の衆院選2、3区、昨年の参院選選挙区では、自民候補が野党統一候補に勝利した。
 野党共闘の再構築と県政の継続を目指す達増氏と、国政選挙での勢いを勝利につなげたい千葉氏。気仙をはじめ全県でも浮動票をどこまで取り込めるかが鍵となりそうだ。
 8月24日現在の選挙人名簿登録者数(有権者数)は、大船渡市が2万9021人(男1万3829人、女1万5192人)、陸前高田市が1万5716人(男7572人、女8144人)、住田町が4313人(男2120人、女2193人)。3市町の合計は4万9050人(男2万3521人、女2万5529人)。