三鉄支援支出に厳しい声 ガザ停戦求める議員発議も 市議会12月定例会 全議案可決し閉会 

▲ ガザ停戦を求める議員発議の採決は、賛成がわずかに上回った

 大船渡市議会12月定例会は17日、最終本会議が開かれ、追加提案を含む議案15件をすべて可決し、閉会した。一般会計補正予算では、赤字が続く三陸鉄道支援の歳出や市の財政負担に対して厳しい意見も。議員発議案の「パレスチナ自治区ガザ地区における即時かつ恒久的な停戦を求める決議」は、反対や疑問の立場から質問が相次いだが、賛成がわずかに上回った。(佐藤 壮)


 定例会初日に当局から提出された議案は、衆議院選挙に伴う補正予算専決処分に加え、刑法等の一部を改正する法律施行に伴う関係条例の整理、一般会計、介護、下水道両特別会計など6件。この日は職員給与改正に伴う条例改正、補正予算計9件が追加提出された。
 定例会当初に提出した一般会計補正予算は、歳入歳出とも6億6307万円を追加し、総額を216億6224万円とするもの。歳出では▽三陸鉄道支援事業にかかる負担金1687万円▽福祉灯油事業にかかる扶助費等2716万円▽新たな森林経営管理事業(森林病害虫被害木クリーン事業分)にかかる補助金477万円▽鉄道施設(三陸鉄道)災害復旧事業にかかる負担金537万円──などが盛り込まれた。
 三陸鉄道支援の負担金は、人口減少や燃料費の高騰、8月の台風被害による収入減少で厳しい経営が続く中、県や沿線自治体が財源を確保し、経営を支えている。本年度、経常損失は過去最大となる7億円超の見込みで、県や市町村の運行支援金を特別利益として計上したうえでも、最終的には4925万円の赤字になる見込み。
 議員からは「県がもう少し負担して、市町村の負担をもう少し軽減するといったことはできないのか」「毎年赤字が出て、これまでと同じような負担金では『なぜ』という声も出る」といった意見が出た。
 これに対し、大和田達也企業立地港湾課長は「見直しというところまでは至っていない」「問題意識を持って県に提案している。沿線市町村と連携を図っていきたい」などと答えた。
 また、災害復旧費負担金は、台風5号で被害を受けた宮古―田老駅間の復旧に向けた2億円余りの復旧額に対し、地方分の一部を市が負担する。人口規模や駅数などで市負担額は沿線自治体でも上位となっている中、負担の仕組みを疑問視する観点での発言もあった。
 また、パレスチナ自治区ガザ地区における即時かつ恒久的な停戦を求める決議は、三浦隆議員が提出。「イスラエル軍の報復が1年以上たった現在も継続し、ガザ地区に対する無差別爆撃と地上侵攻が続く。一般市民への攻撃と非人道的行為は正当化できるものではない。早急に戦闘行為を停止し平和的に問題を解決するために、より一層の外交努力を行うよう、日本政府をはじめとする国際社会に強く訴える」としたうえで▽即時・持続的な停戦▽国際法、国際人道法の順守▽人的被害の抑制、人道支援活動の再開──の各行動を促す内容となっている。
 三浦議員は、県議会や県内市町村議会でも同様の決議が可決されている動きに触れながら賛同を求めた。一方、議員間の質疑では、停戦や人道的支援の重要性は認めつつも「どちらかに肩入れする表現ではなく、中立的な立場を守ったうえで平和的解決を目指すべきでは」「ここで議論するのはいかがなものか」と、疑問や反対を示す発言が続いた。
 議長を除く議員19人による採決では、賛成の10人が起立し、可決された。現段階では意見書提出や、市民らに特定の行動などを求めるものではないという。
 最終日に追加提案された補正予算は、県の例に準じた給与改定に伴う人件費の調整。一般会計は歳入歳出に1億3546万円を追加し、総額は217億9770万円となった。