〝人が人を呼ぶ〟まちへ イコウェルすみた滞在 新たなつながり生む須郷さん(神奈川)
令和7年11月30日付 2面
神奈川県横浜市在住の須郷信二さん(65)が9月から今月28日までの3カ月間、ワーケーションで住田町世田米のイコウェルすみたに滞在した。住田での暮らしを体験しながら仕事に励む傍ら、住民との交流も深めて町内の文化・歴史について学び、人脈を生かして若手映画監督、俳優を呼び込んでのイベントを企画するなど、住田に新たな〝つながり〟を生み出した。(清水辰彦)
須郷さんは、㈱TBSテレビの元社員。ラジオ制作や報道部門に携わり、財務部長なども務めた。今年7月の退職後は同社から業務委託を受けており、リモートで社員とのミーティングを行うなどしている。
東日本大震災を受けて町内に仮設住宅が建設された後、各仮設住宅団地での自治会立ち上げやその後の運営など、コミュニティーづくり支援に携わった同町の一般社団法人・邑サポート(奈良朋彦代表理事)メンバーの一人と交流があった縁から、同法人の町内での活動に参加した経験もあり、平成27年には正会員となった。
以降は毎年、住田を訪問していたが、新型コロナウイルス禍もあって、今年は6年ぶりの来町となった。
日々の業務に励みながら、住民との交流も深め、町内各地区に足を運んで歴史や文化を学んだ須郷さん。時には地元民から〝お裾分け〟してもらったもち米を、地域の高齢者から教えを受けて赤飯にして振る舞うなど、〝一住民〟として地域に溶け込んだ。
過去にラジオ部門で取締役を務めていた際、和歌山県で開かれた「田辺・弁慶映画祭」で堀内友貴さん(28)=東京都、同・田中さくらさん(26)=長野県=の2人の映画監督と知り合った。このつながりから、堀内さん、田中さんに声をかけ、2人に加えて若手俳優らが来町し、町内を舞台として映画・演劇を制作、発表も行われた。
堀内さんや田中さんらは再訪にも意欲的で、来年1月には世田米に伝わる火伏せの奇習「水しぎ」を見に訪れる予定だという。
「密度が濃くて楽しく、あっという間だった」と住田での3カ月間を振り返る須郷さん。「まちを歩いていると声をかけていただけるし、すごくオープンマインドなまちだと思う。いろんな歴史、文化が蓄積されていて、それが人の中に溶け込んでいるとっても魅力的なまち」と印象を語る。
「これからも関わっていきたいし、知り合い、友人にも住田を紹介していきたい。それが僕の役割でもあると思う」と、さらなるつながり創出も思い描く。
イコウェルすみたは、応急仮設住宅本町団地の跡地に町が整備し、令和5年5月末、住田ならではの〝人材交流拠点〟としてオープンした。
敷地内には、ワーキングスペースとして誰でも利用できる「共用棟」、住田での暮らしを体験したり長期ワーケーションで利用できる「滞在体験棟」などが設けられている。
施設を管理する町プロジェクトマネージャーの関博充さんは「モデルケースの一つになるのでは」と、須郷さんの滞在をきっかけに今後の展望を語る。「ワーケーションとして使っていただく中で、滞在中に町民との交流機会を増やしたり、企画を開催してもらうなどしてつながりを深められるような仕組みも増やしたい」と、人が人を呼ぶ、住田ならではの施設としての活用・発展を見据える。





