改訂版/気仙三十三観音霊場巡礼
 『祈りの道』 被災地巡礼




  気仙三十三観音霊場札所めぐり「祈りの道」を発刊してから半年後、
平成23年3月11日に東日本大震災が発生した。震災による大津波で犠牲になった多くの方々にとって、あまりにも突然の出来事だったことだろう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 千年に一度の規模といわれる水魔は、いにしえより地域を護り、心のよりどころとなっている聖域さえも容赦なく奪い去った。海岸近くにあった歴史のある神社仏閣も壊滅的被害を受けた。
「被災地巡礼」を思い立ったのは、震災から一カ月後。とにかく海岸部にあった観音札所がどうなっているのか、ご本尊は無事だろうか、この目で確かめたかった。目を覆うばかりの惨状に言葉を失う。確認できただけでも、被災した札所は十カ所にも及んでいた。
 この夏、札所をもう一度歩いてみようと思っていた矢先、気仙三十三観音霊場の道を再興しようという支援団体によるプロジェクトが動き出していることを知った。「ひとさじの会」。東京の浅草をエリアに路上生活者に月2回、おむすびを配る活動を続けている若いお坊さんたちだった。
 今回の紙上企画「被災地巡礼」で取り上げた内容を、初版「祈りの道」と合わせて再発行しようと思ったのは、津波で本が流されてしまったという方々からの声もあったが、被災地住民の心の寄る辺&怺を願って、ホームページでの霊場紹介や、巡礼ガイドマップ、札所の御朱印作成などでご支援いただいた、「ひとさじの会」の方々の熱意に背中を押されたからだ。
 本書には、津波に流され、二度と見ることができなくなった寺院や風景などの写真もいくつか収録している。この本の力はささやかなものかもしれないが、被害を受けられた方々や、いつか気仙巡礼の道を歩いてみたいと思っている方々のもとに届くことを願っている。

●著者 佐々木克孝 (編集局長)
●AB判(タテ25.7cm、ヨコ21cm)
●全196ページ/オールカラー写真
●定価 1,800円+税

平成25年4月発刊
思い出写真館
(大船渡市・陸前高田市)

『こころの情景』




われわれ記者が、これまでの日常の取材活動で撮り続けてきたふるさとの風景が記録として残ってる。その一コマ一コマが被災した人々や、復興に向けてボランティア活動をしている人にとって心の支えになれば、との思いからスタート。

  『自然がつくった景観を根底から覆すような破壊が、その自然からもたらされた。多くの人命と生活が、そして美しいふるさとの景観が一瞬にして失われてしまったのです』。平成23年7月22日付『こころの情景〜思い出写真館』が、こうして始まった。

 それまでの日常を突然断ち切った東日本大震災。あの悪夢から4カ月が過ぎた。「もうがれきの山は見たくない」「震災前の原風景をもう一度みたい」、そんな声が読者の方々から多く寄せられていた。
 編集局内のホワイトボードには、大船渡駅前通りと陸前高田駅前通りの写真が張り出されていた。それは、全国紙や海外メディアが求めていた、震災前の街並みだった。


 時には「過去よりもっと前向きに」「写真より情報がほしい」などと言った厳しい意見も。その一方で、「失われた風景をもっと見たい」との声にも励まされ、本シリーズは続編を合わせ200回を超えた。

 この中には、読者からの提供写真も何枚か掲載。また、その多くは先輩記者たちが残してくれたカメラ目線の積み重ね。これなくして本書は生まれないかった。

 1枚の写真には多くの記憶が詰まっている。記憶を語り継ぐ、次代に伝える。それと同じように、未来へ伝えたい失われた景色がある。復興には長い年月がかかると思う。しかし、いつかまた、以前よりもっと美しい風景がよみがえる日が来ることを信じたい。

快く写真を提供してくださった方々に深く感謝申し上げます。

●A4判(タテ21cm、ヨコ29.7cm)
●128ページ
●価格 1,500円+税

平成24年8月発刊
平成三陸大津波記録集第2弾

『鎮魂3.11』

岩手県気仙地域
(大船渡市・陸前高田市・住田町)
の被災と復興の記録

 
 平成23年(2011年)3月11日14時46分、三陸沖を震源とする観測史上最大のM9・0という巨大地震が発生、宮城県北部で震度7を記録した。この地震は東北太平洋沿岸を中心とする500kmにも及ぶ地域に巨大津波をもたらし、およそ1万6000人余りに及ぶ死者を出しただけでなく、未だ行方不明となっている方もいる。
 この歴史的大災害に遭遇し、その現場に居合わせた者としてかつ歴史の証言者としてわれわれはこの記録を後世に伝える必要性を痛感した。それは今後いかなる大災害に際会しても再びこのように多くの犠牲が出ないよう、今回の体験によって得た教訓を余すところなく申し送りし、この悲惨な体験が絶対に風化しないよう最大限の努力を惜しむべきでないということである。いたずらに拙速に走ることなく、真に後世のための防災の手引きとなるような記録にしようと1年間の準備期間を設けることにしたのはそのためである。
 一方、当社の記録だけでは自ずと限度があり、より広範囲な視点からこの災害を検証するためにも、地元だけでなく、関係する多方面からも協力を求め、被災地全体を網羅しようということなり、広く資料の提供を呼びかけたところ実に多くの方々から賛同を得ることができた。そういう意味で、この記録集は気仙地域全体の共同作品とも言えよう。  
 この大津波は、自然の持つエネルギーの前に人間などいかに非力な存在かをいやというほど想い知らせたが、その厳然たる事実を忘れることなく、常に大自然と敬虔に向き合うためのよすがとしてこの記録が役立つことを念じてやまない。

●A4判(タテ29.7cm、ヨコ21cm) 
●2巻セット 
    T/被災からの軌跡(200ページ)
    U/そして、地域は (172ページ)
●函入り
●写真オールカラー
●初回限定/特別編集版DVD付 「大船渡湾口防波堤倒壊など」
●価格 3,000円+税

平成24年3月発刊
平成三陸大津波
東海新報  『特別縮刷版』
2011.3.12→2011.5.1

平成三陸大津波 東海新報
特別縮刷版


 被災直後の大混乱の中で当社も混乱を免れなかったが、とにかく第一報を出すことに全力を傾注した。正規に印刷しても販売網も道路網も被災した状況では配達は不可能と判断、それでも輪転機は回す方針だったが、2系統ある肝心の発電機のうち、輪転機用の3相が担当者不在で使えず、やむなく単相のみの使用となったため、パソコンで記事を組みそれをカラープリンターで印刷するハメになった。
 この号外を2000部刷り取りあえず避難所に届けたが、むろんくまなく配られたわけではない。
 翌日は輪転機も使えることになり、取りあえず1万5000部を刷って、毎日避難所に届けることにした。
 こうして3月一杯無料で4ページ建ての新聞を配り、地域紙としてささやかなりとも報道の使命を果たせたのは望外の喜びだった。

●A4判(タテ29.7cm、ヨコ21cm)
●222ページ
●価格 1,500円税込

平成23年10月発刊

平成三陸大津波 写真集第一弾
『空から見た爪痕』

平成三陸大津波 気仙2市被害状況
空撮記録集

東海新報が発行する震災を後世に伝えるための写真集第一弾。
新聞紙上で6月1日より連載した「空から見た爪痕」を永久保存版として発行。
新聞未掲載写真も多数掲載。



 3・11の東日本大震災がもたらした大津波を、当社が「平成三陸大津波」と呼称しているのは、明治29年の大津波を「明治三陸大津波」、昭和8年のそれを「昭和三陸大津波」と呼んでいる顰みにならったもので、他意はない。しかし大船渡、陸前高田両市に限らず、3県にまたがる沿岸被災地に共通することは、千年に一度という壊滅的被害をもたらしたものはマグニチュード9という巨大地震そのものというよりも、それによって引き起こされた大津波がこの大惨事の大本であるという事実を明確にしたいという意図もある。
 被災後記者たちだけでなく他業務も含めたスタッフが撮影した被写体は、地上からのみの撮影に終わるのはやむを得ないことであった。そうしたいわば虫瞰図はかなりの分量となるが、災害記録としてはさらに視点を変えて空から見た、つまり鳥瞰図も将来必ず必要になるだろうとの観点から空撮を試みた。それがこの記録写真集である。
 被災後しばらくは新聞発行に追われ、かつヘリのチャーターも困難だったため、かなりの時間が経過してからの撮影とはなったが、がれきの山に埋もれてどこがどこか判別できないような状態だった時点より、かえって道路や位置関係が明確になり目的地、目的物の確認が容易になったのは計算外の結果だった。
 両市がやがて復興した暁には、被災時との対比のためこの記録写真集が役立つことを期待し、かつ二度とこの災禍が繰り返されることのないよう願いを込めて、「永久保存版」とした。これによって、天災の恐ろしさと天災にたいする不断の備えを怠ってはならないという、被災地の思いが将来に語り継がれる一助となれば幸いである。

●A4判(タテ29.7cm、ヨコ21cm)
●170ページ
●価格 1,500円税込

平成23年8月発刊
モスバーガーを創った男の物語
『羅針盤の針は夢に向け』

モスバーガーを創った男の物語 「羅針盤の針は夢に向け」
純国産資本で大手ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開する
(株)モスフードサービスを創業した櫻田慧氏(大船渡市出身)
その波瀾の生涯、櫻田氏の生き様と「櫻田イズム」。
閉塞感漂う今日、年代や性別、職業を超えて人として生き方を問い直し、
夢と希望を与えてくれる一冊。


この本は、平成20年4月から3年間にわたって東海新報紙上で毎週日曜日に連載してきた 『モスバーガーを創った男』 をもとに、出版用として書き換えたもの。 新聞紙上では掲載されなかった事実やエピソードを加筆し、17章からなる構成も一部変更。「終章」 は全面的に書き換えるなどした。
櫻田氏は昭和12年1月に大船渡市盛町で生まれ、高校1年の途中まで故郷で過ごした。医学部進学を目指して上京。医学部へは進めなかったものの、日興證券へ入社し、派遣されたアメリカで 「ハンバーガー」 と出合う。その後次々と襲いかかる試練を乗り越え、東証一部上場企業と国内外に約1,600店を展開する一大チェーンを築き上げ、平成9年5月に60歳で亡くなった。
出版は(株)モスフードサービス (櫻田厚社長、東京都) と創業期以来の櫻田氏の盟友・野下靖久氏 (同社顧問税理士、同)、(株)東海新報社の共同企画。 野下氏が平成18年秋に大船渡市を訪れた際、地元であまりにも櫻田氏が知られていないことに強い衝撃を受け、伝記出版を思い立ったのがきっかけ。同氏の思いがモスフードサービスを通じて東海新報社に伝えられ、共同事業として紙面掲載後に刊行することが決定。
本は神格化された経営者の成功物語ではなく、短所を持ち、時に悩み迷い、失敗もする 「人間・櫻田慧」 の生涯を縦糸に、家族の情愛や仲間たちとの出会いと別れ、モスフードサービスの歴史などを横糸に織り込みながら、櫻田氏の “実像” に迫った作品。
本ではまた、櫻田氏が苦難と挫折の中から見出してきた 「櫻田イズム」 も分かりやすく紹介している。男女を問わず、どの年代にとっても、とりわけ次代を担う若者たちにとってはこれからの生き方を考える上で、大いに参考となりそうだ。
本の帯には櫻田氏と親交のあった写真家・浅井愼平氏が推薦文を寄せ、冒頭のページには同氏の好意で提供された櫻田氏の写真も収録されている。
出版に当たり、モスフードサービスの櫻田社長は 「この本を熱い思いで読破しました。櫻田の際立つパーソナリティと櫻田イズム、櫻田を熟知していると思っていた私でさえ驚かされるほどの挑戦と挫折を繰り返し、いかに心血を注いでモスバーガーの創業に至ったかを思うと改めて引き継ぐものの大きさと責任を重く感じました」 と語っている。 また、野下氏は 「櫻田慧さんは快男児という言葉がぴったり当てはまる素晴らしい方でした。この本で彼の思想、人柄、努力、業績を余すことなく知っていただけると思うと、とてもうれしい。みなさんには大きな感動をもって読んでいただけると信じています」 と話している。

●著者 木下繁喜 (取締役)
●A5判(タテ21cm、ヨコ14.8cm) 上製本 全412ページ
●定価 1,800円(税込み)

平成23年3月発刊
気仙三十三観音霊場巡り 『祈りの道』

祈りの道
札所の見どころ満載 東海新報連載を出版 巡礼ガイドブックに

気仙三十三観音霊場をそれぞれの札所の縁起や見どころを、四季の移ろいとともに豊富なカラー写真と地図などで紹介している。
平成20年9月〜22年4月まで一年半にわたり、「祈りの道 気仙三十三観音霊場」のタイトルで東海新報紙上に連載された内容を中心に収録。
気仙三十三観音霊場は、江戸中期の享保3年(1718)、気仙郡高田村の検断役・佐々木三郎左エ門知則が父母の安楽追善供養のため、郡内で観音像を安置する主な寺社(33カ所)を選定。
知則はその時、各札所に御詠歌も奉納している。  
著者は、陸前高田市(21カ所)大船渡市(6カ所)住田町(6カ所)にある観音霊場を巡礼しながら、見聞きした札所の縁起や秘められた伝説、見どころなどを紙上巡礼の旅≠ニして連載した。
本書では、その時に掲載した信仰の歴史と御詠歌、建物、仏像、四季折々に美しい変化をみせる自然などを豊富なカラー写真や地図とともに紹介している。
巻頭で、東海新報社の鈴木英彦社長が「気仙を知るうえでというより、もう一度郷土を見わたす意味で好個の郷土史研究書≠ニもいえる」と寄せている。
巻末には、元東京大学大学院教授の梅内拓生さん(盛町出身)の随想詩「気仙巡礼短歌と返歌」も収録した。
著者は「信仰、観光、健康を兼ねて散策気分で気仙巡礼の旅を楽しんでみたいという人たちのガイドブックになれば」と話している。

●著者 佐々木克孝 (編集局長)
●AB判(タテ26cm、ヨコ21cm) 全160ページ/オールカラー写真
●定価 1,800円+税

平成22年10月発刊
 『気仙・辺辺 (あだりほどり) の四季』

気仙の風物、歴史、風俗、奇祭などを文章とイラストで紹介

平成10年から足かけ8年間(1998〜2005) にわたり、月一回のペースで東海新報社に連載したシリーズ広告、全108編を一冊の本に収録した。
 『気仙・辺辺 (あだりほどり) の四季』 は、地元でも意外と気づかないでいる海、山、川、四季折々の光景や暮らしを訪ね、読み物風に肩の凝らない文章と、時空間を行き来できるソフトタッチの線描イラストで紹介。
シリーズは 「商品の販促広告ではなく、切り抜きにして保存できるようなものに」 という考えから、異色の広告スタイルとして話題を呼び、平成11年には第30回岩手広告賞新聞広告の部で “準大賞” となる 「奨励賞」 を受賞。
冊子には、自然の恵みを大切にしてきた先人の知恵や自然環境にスポットを当て、 「シロウオ漁」 「三面椿」 「水しぎ」 「カマド神」 「気仙丸」…など、気仙の風物、歴史、風俗、慣習、奇祭、社寺とその由来が、四季折々の情景とともにたっぷり盛り込まれています。
連載がヒントになっていくつかの新商品も生まれ、地元の人が案外知らずにいる地元の良さを見直し、かつガイドブックとしても利用されている。

●企画編集 東海アドセンター
●題字揮毫 さいとう製菓(株)代表取締役社長 齊藤俊明 氏
●A5判(ヨコ21cm、タテ14.8cm) 全228ページ
●定価 1,980円(税込み)

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