2010/04/07 020



誇りと緊張

峰打ちも見せる魚店の忙しさ
切り口に年期をこめた鉄火巻
目覚めれば西陽眩しい夜勤明け

2010年2月6日の東海新報に掲載された「川柳自選句」木村自然児(昭和55年)の3作品からは、働いている町の魚屋、鮨屋、3交代勤務者たちの、忙しい仕事にあけくれながら、その仕事への緊張と誇りをもった心意気込みが伝わって来る。
また、同日の紙面にはこの「誇りと緊張」につながる記事が掲載されている。
「税に関する中学生の作文」で大船渡税務署長賞を受けた「税金について」(吉浜中3年・伊藤英)の作文には、小児科で小児ぜんそくの治療を受けた経験から税金が医療サービスを支えていることがよく理解できたことが書かれている。
税金を自分だけの利益のために悪用している人がいることなどを知って、税金が社会を支えるという基本を忘れないように誇りと緊張を持って、納税者、税金の使用者や管理者もそれぞれの立場の役割を果たすことの大切なことが述べられている。
「峰打ちも見せる魚店の忙しさ」 「切り口に年期をこめた鉄火巻」 「目覚めれば西陽眩しい夜勤明け」 …スーパーやコンビニの発達した今の世では、魚屋の亭主や鮨屋の職人が腕を振るう場面を見ることが少なくなった。
この川柳が詠まれた30年前には、このような場面を見ることが多くあった。夜勤に向かう時や帰りの途中で魚屋や鮨屋に魚や鮨を頼んだのも、店の主人の誇りと緊張に基づく腕前と、生きの悪いものは決して売らないという人柄を信用していたからだと思う。
このような人々が誇りを持って税金を納めていたのである。技に対する誇りと緊張を見ることが少なくなった今の世は、税金を納めない人も多くなり、税金を横流しする人も多くなっている。これは深刻な社会問題であると思う。
「教育振興は 『信頼』 から 教職員対象に講習会 盛小」という記事が同日に報道されている。子ども、学校、家庭、地域、行政という5者がそれぞれの役割と責任を果たす必要がある。
このためには「親子と教師の信頼関係を築くことが何よりも重要」 「子どもが楽しめる授業を教員が行えば、子どもは家庭でそのことを親に話す。授業を通して教師と子、教師と親の関係が生まれてくる」 「子どものやる気や長所を見逃さず、自主・自立の心が芽生えるように接するのが教師の務め。偉大な教師は、相手の心に火をつけて、やる気を起こさせるもの」と授業の大切さが述べられている。
まさに税金で賄われている教育、特に公的教育の場では「誇りと緊張」を持って教育に向かう事が大切である。