「再度の補助・給付金」最多 商議所会員ア ンケート調査 事業所支援策で55%が要望

 大船渡市と大船渡商工会議所は、同商議所会員事業所に実施した新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査をまとめた。1月下旬に570事業所から回答が寄せられ、「影響が継続している」と答えたのは今回も半数を超えた。求められる支援策では「売り上げが減少した事業者に対する再度の補助金・給付金」が55%に上り、事業継続に向けた直接的な施策を求める回答が目立った。

 

 新型ウイルスの経済面への影響は昨年3月から顕在化。地域経済や中小企業の状況を把握しながら適切な支援に取り組むとともに、国や県に必要な要望を行うため、アンケートを実施している。同10月以来3度目で、調査対象は会議所会員となっている1588事業所。回答数は570事業所で、回収率は35・8%だった。
 経営面で「影響が継続している」と回答したのは54・4%。前回の調査では56・1%だった。
 「現時点で影響がないが、今後影響が出る可能性がある」は26・8%で、前回よりも8・3ポイント上昇。「影響が出たが、すでに収束した」が3・9%、「特に影響はない」は8・2%だった。
 「影響が継続」と回答した事業所を主要業種別でみると、最も割合が高かったのは飲食で95・7%。宿泊業も76・9%に達した。食料品製造業も76・0%、サービス業も61・8%と高かった。
 影響が出ている事業所に前年同月との売り上げの比較を聞いたところ、「50%以上減」が21・3%。「30%以上減」は26・5%で、「20%以上減」は18・4%だった。
 「50%以上減」となった事業所の割合は、飲食業で35・6%、宿泊業で30・0%。このほか卸売業が27・3%、運輸業が25・0%となっている。建設業や小売業、農林漁業でも2割を超えた。
 また、具体的な影響に関する質問(複数回答可)で最も多かったのは「資金繰りの悪化」で40・6%。次いで「予約や受注のキャンセル」が38・4%、「主催イベント・展示会・セミナーの中止・延期」が27・4%、「出張の延期や中止」が21・9%だった。
 一方、国や自治体、金融機関による新型ウイルス支援策を利用した事業所は77・9%だった。支援策別で最も多かったのは、市による「30万円給付」で75・9%。1カ月あたりの売り上げが半減した事業所などを対象とした「持続化給付金」も61・9%に達したほか、県による感染症対策補助金(上限10万円)も36・0%と高かった。
 今後、必要とされる支援策は最大3項目まで選ぶ形で回答を求めた。半数を超える54・9%が「売り上げ減少事業者への再度の補助金・給付金」と答え、次いで「支援策に関する情報提供」が41・8%。「税金や公共料金の猶予」「融資など資金繰りの支援」「マスクや消毒液等の衛生用品の供給」も25%前後となった。
 再度の補助金・給付金を求める回答は、飲食業だけを見ると85%と際立って高い。小売業も64・2%と高かった。
 この調査は大船渡市内で感染者が急増する前に実施しており、先月16日から市が独自で設定した「感染拡大防止特別期間」では、さらに経済的な影響が拡大したとの見方が広がる。特別期間は7日で終了する一方、首都圏1都3県を対象とした緊急事態宣言再延長の余波を懸念する事業所も少なくない。
 同商議所の齊藤光夫事務局長は「各事業者が売り上げ確保に向けた努力を続けている。緊急事態宣言再延長の不安はあるが、今後は地域経済回復や地元消費喚起に向けたサイクルに戻していかなくてはならない」と話す。
 市や同商議所では、今回の調査の分析をさらに進め、きめ細かい対応につなげることにしている。業種別の影響、廃業検討に関する回答は別掲。