新生「東朋中」が誕生 地域の誇り胸に第一歩 開校式で生徒ら飛躍誓う

▲ 期待を胸に校歌を斉唱する生徒たち

 大船渡市の赤崎中と綾里中が統合し、本年度誕生した東朋(とうほう)中学校(村上亮校長)の開校式は7日、同校体育館で挙行された。出席した関係者らが、新設校の門出を祝福。記念すべき第一期生となった生徒たちが、出身地域の誇りを胸に、仲間たちと新たな伝統を築きながら、実りある学校生活を送ることを誓った。

 

開校式後には校訓が刻まれた石碑の除幕式も行われた

赤崎、綾里が統合 

 

 同校は、大船渡市が策定した「大船渡市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」にもとづき、生徒数の減少が続く赤崎、綾里両中を閉校し、新設統合。震災後、高台に移転新築した赤崎中校舎を利用する。「東朋中」という校名には、大船渡市の東方に位置することを表す「東」と、二つの学校が統合し、学友や仲間などの意味を持つ「朋」を加え、朋(とも)と学びながら発展していく願いが込められた。
 開校式には、在校生や教職員、市、地域の関係者約100人が出席。戸田公明市長による開校宣言が行われたあと、村上校長が新しい校旗を小松伸也教育長から受け取った。校旗に描かれた校章は、綾里中のデザインを引き継ぎ、「赤崎、蛸ノ浦、綾里の3地区が互いに手を取り合って学校生活を送る」という意味がある。
 戸田市長は「記念すべき東朋中学校の初めての生徒として、統合前のそれぞれの学校にふさわしい伝統、文化を引き継ぎ、これから始まる新しい学校の歴史を築いてほしい」と式辞。
 村上校長は「東日本大震災から10年を経て誕生した東朋中では、新たな復興教育の進展も命題となる。生徒第一を心にとどめて、保護者、地域の皆さまと連携しながら、新たな学校づくりにまい進する」とあいさつした。
 生徒を代表して登壇した佐藤千秋君(3年)は「東朋中学校のスタートという記念すべき日を迎えることができ、感激で胸がいっぱい。赤崎、綾里ともに74年の歴史があり、その時間の中には想像もつかない困難や苦労があったと思う。先輩方や地域の方々の汗と涙の上に東朋中の開校があるということを胸に、互いに力を合わせて前進していきたい」と決意を述べた。
 最後に、赤崎中から引き継がれた校歌を斉唱。真っすぐなまなざしで声をそろえた生徒たちは、これから始まる仲間たちとの新たな学校生活に胸を膨らませている様子だった。
 式後は、校名看板と校訓石碑の除幕式が行われた。校名看板の建設には、亘理建設㈱(亘理宏喜代表取締役)と亘理土木工業㈲(亘理好治代表取締役)が協力し、学校の敷地入り口の2カ所に設置。校訓の「切磋琢磨(せっさたくま)」が刻まれた石碑は昇降口前に設置され、㈱三栄工業所(金一磨代表取締役)が岩手銀行の「いわぎん『みらい応援私募債』」を活用して協力した。
 「切磋琢磨」の文字は、震災後から書を通じて赤崎中と交流を続けてきた広島県福山市の書家・相原雨雪さん(75)が揮ごうしたもの。式典に出席した相原さんは「二つの学校が統合したことで、これまで以上に〝切磋琢磨〟しながら生活し、全校生徒それぞれが、輝く人生を送ってほしい」と願いを込めていた。
 東朋中の入学式は9日(金)に行われる予定。新入生41人を迎え、全校生徒111人での学校生活がスタートする。