2019住田町議会選/「なり手不足」広がる危機感 新人待望論高まるも… 

 9月17日(火)告示、同22日(日)投開票の住田町議会議員選挙(定数12)まで、残り3カ月となった。現職(別掲)のうち、現段階で出馬の意向を示しているのは9人で、検討中は2人、不出馬は1人。新人待望論が日増しに高まる一方で人選の難航も聞かれ、早くも4年前に続く無投票や、定数割れの危機がささやかれる。無投票は議会や選挙、町政への関心低下につながりかねず、今後は町全域で候補者擁立のムードがさらに高まるかが注目される。

 

告示まで3カ月切る

〝連続無投票〟阻止なるか

 

 9月30日(月)の任期満了に伴う町議選は、昭和30年の町制施行後通算17回目。同8日(日)投開票の知事選・県議選後に行われ、気仙の〝選挙イヤー〟を締めくくる。
 平成27年の前回選は、定数12となって2回目の選挙。現職出馬は11人で、新人は勇退議員の後継として挑んだ1人にとどまり、初の無投票となった。有権者は、貴重な一票を投じる機会が失われた。
 一昨年に行われた定数1の町議補選でも、告示まで残り10日の段階でも出馬の動きがなく推移。立候補予定者説明会終了後に新人1人が立候補を表明して定数割れは免れたが、無投票に終わった。
 有権者数は、10年前と比べて10%以上減少。町内では定数見直しを求める声も聞かれる。一方、現職町議らの中では常任委員会の構成が難しくなるとし、反対論が根強い。6月定例会中も見直しで目立った動きはなく、今選挙も定数12での実施が確実視される。
 現職の地区別動向をみると、最大票田の世田米(6月3日現在有権者数2835人)では、補選で初当選を飾った荻原氏と副議長の阿部氏、最年少の佐々木(信)氏、大股地区在住の菅野氏がいずれも出馬の見込み。
 最年長で現在1期目の佐々木(初)氏は「支持者から再選を促す声を受けているが、現時点では態度を決めかねている」と、検討を重ねる。瀧本氏も出馬への明言は避ける一方、「周囲からの『もう一期を』という声は承知している」と話す。
 泉田氏は早くから、自身の体力面などを理由に不出馬の方針を明らかにしてきた。そのうえで「地元(商店街通りがある曙地域など)からの新たな候補者を探している」と語る。
 下有住(同655人)では、高橋氏が現職では最多となる6選を目指しての出馬が濃厚。佐々木(春)氏は今回も、唯一の共産党公認で臨むことになりそうだ。党関係者は「選挙を支える人員確保を考えても、複数の公認擁立は難しい」と明かす。
 上有住(同1363人)では、5選を目指す林﨑氏と、前々回選トップ当選の村上氏、さらに議長の菊池氏が出馬の構え。一昨年の町長選出馬に伴い辞職した水野英哉氏(63)は出馬しない方針だが、地元の両向地域では長年議員を輩出してきた。同氏は「できれば、この地域から立候補者が出てほしい」と期待する。
 出馬を固めた現職の一人は「選挙戦の想定で動いている。有権者が投票できる形になってほしい」と話す。一方で別の議員は「地域の中で自分よりも若い人が手を上げるならば、譲るつもり。ただ、なかなか出てこない」と本音を漏らす。
 新人の出馬がない場合、任期中に50代以下の議員がゼロとなる。また、同町ではこれまで、女性町議が出ていない。女性が集う各種団体の会議などでは出馬を期待する声が上がるものの、具体的な動きは表面化していない。
 町選挙管理委員会では、8月下旬に立候補予定者説明会を予定。現職の中には「ここでの出席状況をみて、擁立の動きが加速するのでは」と、告示直前まで不透明な情勢が続くとの見方もある。
 少子高齢化や人口減少が進み、財源確保にも厳しさが増す中、今後の議会では難しい判断を必要とする議案審議の増加が予想される。無投票が重なれば、町民の議会や町政に対する関心低下につながり、地域全体の停滞にもつながりかねない。有権者の声を反映できる機会が生まれるか、今後の動きが注目される。
 今月3日現在の町全体の有権者数は4853人(男2365人、女2488人)。前回選告示前日と比べ、311人少ない。