改めて考える震災伝承

 本日付3面でも紹介しているが、先日、陸前高田市内で「いわて復興未来塾」が開かれた。「未来につなぐ震災伝承」をテーマに、見学会や基調講演、パネルディスカッションが展開された。
 このうち、基調講演「阪神・淡路大震災の語り部活動等について」は、兵庫県淡路市の北淡震災記念公園総支配人・米山正幸氏が講師を務めた。
 米山氏は、平成7年の阪神・淡路大震災を経験し、語り部としても活動している。講演では、同震災での経験をはじめ、語り部活動の現状や課題、今後などを語った。
 この中で、「震災を体験していなくても語り部になれる」という言葉にハッとさせられた。あまり意識したことはなかったが、語り部、伝承活動といえば、「当事者の体験を伝えること」だと思い込んでいた。
 しかし、東日本大震災から11年半もたてば確実に風化が進み、当時を知らない世代が増え、経験者が減っていくのは当然のこと。実際の伝承活動を見れば、すでに直接の体験がない人々も携わっており、震災や復興状況を詳しく国内外に発信している。
 米山氏は、経験がなくても語り部になれるとしながらも、「体験した本人からの心の受け継ぎがなければ、語り部ではない」と強調。阪神・淡路大震災では体験者の話を聞く機会が減っていることにも言及した。
 気仙でもいつか必ず、同じ状況になるときが来る。だからこそ、いまから少しずつでも体験者の経験はもちろん、思いや感情に触れておかなればならないと感じた。その積み重ねが、次世代の命を守ることにつながる。
 11年半の復旧・復興には、被災地内外の多くの人々が携わってきた。伝承活動もまた、当事者だけではなく、幅広い世代や立場のかかわりが必要だ。できること、話せることでいい。一人一人が語り部となり、震災を後世に伝承していければと思う。(佳)