住民の一言から

 「もっとたくさん避難している人がいると思っていた」──。
 日本から約8000㌔離れた南太平洋のトンガ近海にある海底火山が噴火した影響で、16日未明に発令された津波注意報。冒頭の言葉は、避難所となった陸前高田市コミュニティホールに避難した住民から聞かれたものだ。
 トンガ近海での噴火は、日本時間の15日午後1時ごろ発生。気象庁は当初、「若干の海面変動が予想されるが被害の心配はない」としたが、16日午前0時15分、鹿児島県の奄美群島・トカラ列島に津波警報、太平洋沿岸を中心に津波注意報を出した。
 その後、本県では久慈市で1・1㍍の潮位上昇が確認され、同2時54分に警報へ切り替わった。本県に津波警報が出されたのは東日本大震災以来のことだった。
 鳴り響くサイレンを聞き、近くの避難所である同ホールに向かった。避難所開設から1時間が過ぎたころ、避難してきた家族に話を聞いた。
 「明るいところは安心する。でも、ほかに避難している人がいないとは思わなかった」。
 同感だった。当時、高田町高台に避難指示は出ていなかったが、それでも「こんなに人が来ないのか」と不安を覚えた。
 冒頭の言葉を、深く胸に刻む。震災を経験したわれわれは、二度とあの悲しみを繰り返してはならない。だからこそ、いつどこでどの規模で発生するか分からない自然災害に備え、有事には迷わず避難する意識を常に持つべきだと再認識した。
 しかし、意識に行動が伴わないと、自分の命は守れない。今回は夜中の発表だったこともあり、自宅で様子を見たという人も多かったと思う。
 繰り返す。自然災害は〝いつ〟、どこで起きるか分からない。自分がいかなる状況であろうと、危険を感じたらすぐに逃げる──。住民の一言に、大切なことを気付かされた夜だった。(菅)