10年越しで実現した夢

 10年前の平成27年1月19日、住田町のPRキャラクター「すみっこ」に〝魂〟が入り、世田米小学校で初披露された。取材でその姿を間近にし、町内外に広く親しまれる存在として成長してほしいと願ったことを今でも覚えている。
 気仙では、東日本大震災発生後の24年に陸前高田市で「たかたのゆめちゃん」、25年には大船渡市で「おおふなトン」と、地域を代表するキャラクターが誕生。すみっこの登場で、3市町のキャラクターがそろった。
 いつしか筆者の胸中には、「この3キャラクターで新年(1月1日)号の表紙を飾りたい」という夢が生まれていた。3体はみな、声は出さないものの、SNSなどでは独自の〝構文〟や方言を生かしながら、日々の出来事、地域の魅力を発信している。「構成次第では鼎談も夢じゃない」という感触もあったが、実現しないまま10年が経過しようとしていた。
 この間、新型コロナウイルス禍でイベントなどの中止が続いた時期もあったが、3体は活動を続け、気仙を代表するキャラクターになった。ちょうど今年、この3体がそろって10周年を迎えることもあり、長年抱いていた夢の実現に動いた。
 どのキャラクターからも取材には快諾をもらえた一方、それぞれイベント出演などで多忙の身。スケジュール調整と写真撮影場所を探すのに苦労もあったが、一つ一つクリアしていった。
 そして、元日に発行された新年号第4特集の表紙に3大キャラクターが並んだ。インタビューや鼎談を載せられた一方、キャラクターがSNSで用いる絵文字での表現ができなかったり、スペースなどの問題で企画内容全てを実現できたわけではなかった。心残りもあり、自身の力不足を改めて認識させられた。
 それでも、10年越しの夢を形にでき、紙面に携わった全ての方々に感謝したい。今後も微力ながら、キャラクターたちの魅力を発信していきたいと思う。(佳)