楽しかった三鉄の旅

 先日、初めて取材以外の目的で三陸鉄道リアス線に乗った。本県沿岸南から北へのおよそ3時間半の鉄道の旅を楽しむことができ、貴重な機会となった。
 今年春、妻が大船渡市から久慈市の特別支援学校に転勤した。4歳の一人息子に会いに行くため週休などを使って月に1度は三陸沿岸を北上していたが、移動手段は毎回車だった。
 今回は、三鉄で向かうことにした。リアス線最南端、盛駅の始発便に乗る計画を立てたが、その場合、三鉄本社がある宮古市の宮古駅で1時間ほど停車時間があるらしい。そのため、釜石駅午前6時2分発の列車に乗ることに決めた。
 岩手船越駅〜宮古駅間は、各駅で高校生がぞろぞろと乗車。高校生たちは、席に着くやいなやかばんから参考書とノートを引っ張りだし、必死にペンを走らせる。しばらくするとペンを手にしながら、こっくり、こっくり首を揺らして目を閉じている。気づけば車内は高校生たちが大勢乗っていたが、その車内を見渡すと、特定の生徒ではなく、多くの生徒が同様の〝物思いにふける〟習性をみせており、自然と笑みがこぼれた。
 北上中、散歩の途中だろうか、お父さんと手をつないでいる幼い女の子が、車両に向かって元気よく手を振っていた。列車の広い窓から見える景色は、三陸沿岸が誇る雄大な自然の絶景だけではない。住民の生活に密着している三鉄の魅力はさまざまな場面に散りばめられていると体感することができた。
 三鉄は昨年、JR東日本から移管される山田線の宮古〜釜石間(延長55・4㌔)の運行を始め、「リアス線」として大船渡市から久慈市までの三陸沿岸が一本の鉄路でつながった。「地域の足」を応援するため、また今度機会を見つけて乗ろう。きっとそのときも素晴らしい景色に出合えるだろう。(信)