感謝の気持ち届けよう

 いよいよあす、岩手で49年ぶりとなる「全国植樹祭」が、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で開かれる。
 同祭は、豊かな国土の基盤である森林・緑に対する国民の理解を深めようという、国土緑化運動の中心的行事。天皇・皇后両陛下が外出される「行幸啓」の一つでもあり、記念式典には両陛下が出席される。
 岩手では、昭和49年5月に松尾村(現八幡平市)で開かれた第25回以来となる。平成30年8月に岩手での開催が内定し、正式に決定したのは令和元年の8月。同年11月には、東日本大震災からの復興の象徴でもある復興祈念公園を会場とすることが決まった。
 当初は令和4年度の予定だったが、正式決定の翌年から新型コロナウイルスが流行。この影響で開催が1年延期され、内定から約5年の歳月を経ての実現となる。
 岩手の森林・林業をアピールし、さらなる発展や次世代への継承などを祈念する機会となるが、岩手大会だからこそ、この陸前高田市が会場だからこその目的もある。それは、「震災からの復興支援に対する感謝を発信する」ということだ。
 新型ウイルスの影響で、開催規模は当初の6000人から4200人に縮小された。大会への参加は、一般公募を含む県内外からの招待客に限られてしまう。正直、地域住民にとってはどこか距離を感じるのかもしれない。
 それでも、地域の代表として、気仙の子どもたちや林業、商業などの関係者らが大会に臨み、全国に感謝の気持ちを伝えてくれるだろう。
 また、県は式典の様子を動画投稿サイト・ユーチューブで配信し、市も高田町のアバッセたかたでパブリックビューイングを開くことにしている。こうした機会を生かし、復興支援への感謝を重ねながら見守ることができる。
 全国植樹祭本番まで、あと1日。一人一人の感謝の気持ちを、会場に届けよう。(佳)