児童の心を育むのは

 取材の裏話、というほどでもないが、16日付7面の記事「若竹太鼓保存会が横田小に寄付金など贈る」は、掲載写真に写っていない〝第3の人物〟が存在する。本人(ここではY氏とする)から名前を伏せるよう申し入れがあり、記事に支障が出なかったことから「今回は」と紹介を控えたが、校長室で横田町や子どもたちへの思いを語ったY氏の存在は記しておきたいと考え、この欄を借りて補足したい。
 同町に住むY氏は、東日本大震災以前から「横田の子どもたちに楽しい思い出を作ってもらいたい」と、学校や親子の取り組みに対しさまざまな後方支援を展開。自らの資産を投じながら、「やる気が感じられる人にならいくらでも協力したい」と子育てやまちづくりに意欲的な大人たちの背中を押し、旧横田中伝統の若竹太鼓を存続させようとする同保存会のことも応援してきた。
 今回の小学校への寄付は、村上会長ら保存会の本意であることに違いはないが、「横田で芸能が減っている中、若竹太鼓を今後も存続させるためには、学校の協力が必要」というY氏の思いも込められていた。「横田小が若竹太鼓を復活させたが、周囲はそれにただ相乗りするだけではだめ。芸能の完成、継承までにさまざまな紆余曲折があったことを知り、地域全体で盛り上げる機運を生みたい」──。横田をもっと活気に満ちた地域にしたいという熱意がひしひしと伝わってきた。
 何より印象的だったのは、「自分は地域に生かされてるから」という言葉だ。「地域から必要とされなければ、自分は今ここにいない。これまでお世話になってきた地域のために、自分にできることをやる」という、裏表なく語るY氏の本心からの言葉に、胸を打たれる思いだった。
 同校の川村香織校長が口にした「地域の応援団」という言葉が、とてもしっくりきた。温かな地域からのエールが、どうか児童たちの一部となりますように。(仁)