あの「音」があってこそ

 例年よりも、「音」がよく聞こえる開幕序盤だった。新型コロナウイルスの影響で延期していたプロ野球が、無観客措置を講じたうえで6月19日に開幕した。本来は3月20日に開幕予定だったが、新型ウイルス収束のめどはたたず、複数の選手にも陽性者が出るなどし、何度も延期となっていた中で待望の〝球春〟到来となった。
 ただし、試合数はセ・パ両リーグともに143から120に減らしたほか、例年なら全12チームが18試合を戦う両リーグの交流戦、オールスター戦2試合はいずれも中止される。
 はじめは無観客の試合には違和感があったが、慣れてくると例年とは違った楽しみ方が出てきた。普段なら聞こえづらい「音」が、よく聞こえてきたのだ。
 打者がボールをジャストミートした時に響く乾いたインパクト音、野手の捕球音、選手たちのかけ声、投手の投げた球が捕手のミットに収まる音、そうした一つ一つの音から、「プロフェッショナル」を感じることができた。
 ただ、足りない音もあった。試合を盛り上げ、選手を勇気づける多くのファンの声援だ。
 試合開始と同時に流れる先頭打者の応援歌、好プレーに送られる拍手、一喜一憂の歓声とため息──。あの音があるから、プロ野球はプロ野球たり得るのかもしれない。
 無観客開催中、各球団ではファンから応援動画を募るなど、さまざまな工夫を凝らしてきた。
 10日からは、各会場に最大で5000人まで観客を入れて試合を開催できるようになった。観客同士の飛まつ感染や接触感染を防ぐため、応援についても制限され、大声や歌、ハイタッチ、肩を組むこと、タオルを振り回しての応援などは禁止されている。いつものようなにぎやかさはまだないが、ファンの姿と笑顔がスタンドに戻ってきたこれからが、本当の〝シーズン〟だ。(清)