新体制の陸前高田市議会

 陸前高田市議選は9月3日に投開票され、新たな16議員が決まった。同月20日には改選後初となる臨時会が開かれ、正副議長をはじめとする議会人事が決まり、新体制が動き出した。
 注目は正副議長ポストだった。正・副ともに臨時会前日夕まで最終的な顔ぶれが固まらず、流動的な要素を残したまま選挙を迎えた。
 興味深かったのが9月20日、臨時会に先立ち行われた議員懇談会だった。議長選立候補者2人、副議長選同2人の計4氏が、全議員が臨んだ懇談会の場で、所信表明を行った。その後の選挙で議長には及川修一氏(67)=7期・無会派、副議長には鵜浦昌也氏(61)=4期・創生会=が選ばれた。
 所信表明で及川氏は「『和』というものを大事にした議会を目指したい。なれ合うという意味ではなく、それぞれを尊重し、互いをわかり合い、切磋琢磨し、スクラムを組んで進むような議会にしていく」と決意を語った。
 一方、鵜浦氏は「『和をもって貴しとなす』という考えが私の人生訓。対立、分裂するよりも協調性が大事で、相互に理解し、尊重し融和を図りながら、議会運営していくことが求められる」と支持を呼びかけた。
 くしくも主張した内容が似通い、2人自身が驚いていた。今議長選で及川氏とその座を争った対立候補は創生会メンバーで、同会派の鵜浦氏はその候補を支持したとみられる。構図的には及川氏と鵜浦氏は、主要ポストの座をかけてにらみ合っている状況だったといえる。
 市長選や市議選などで激しい戦いが繰り広げられるたびに、「市長派」「反市長派」というような対立構造が生まれるが、一部市民は辟易としている。正副議長が強調した「和」の実現に期待を抱く人は多いだろう。市民代表の16議員でつくる議会が一枚岩となれるか新体制の行方を注視していきたい。(信)