令和7年01月24日付

 トランプ大統領就任礼拝で、司教が「大統領、最後にお伝えしたい」と呼びかけた。その声は震えていた▼「今、恐怖におののく国民に慈悲をおかけください。民主党、共和党、独立系の家族には、ゲイ、レズビアン、トランスジェンダーの子どもたちがいて、中には命の危険を感じている人もいる」▼「農場で収穫し、ビルを清掃し、養鶏場や食肉加工場で働き、レストランで私たちが食べたあとの皿を洗い、病院で夜勤をする人々は市民権や適切な書類を持っていないかもしれない」「だが移民の大半は犯罪者ではない。彼らは税金を納め、良き隣人です。教会やモスク、シナゴーグの誠実な信徒でもあります」▼司教は大統領がLGBTQや移民を標的としていることに触れ、他の宗教に対する寛容と理解を示しながら「紛争や迫害から逃れてきた人々を助けてください。思いやりと歓迎の心を示してください」と説いた▼今後その身に脅迫や嫌がらせが降りかかるかもしれないと知りつつ、司教は強い使命感から勇気を振り絞って語っているのだと分かった▼「神は私たちに他者へ慈悲を示すよう教えています。見知らぬ者に対しても。私たちもかつてはこの地の見知らぬ者でした」─〝説教〟の最後も実にふるっていた▼米国人こそが、もともとは〝移民〟だった。建国のルーツ。まさか忘れたわけではあるまい。