令和6年04月16日付

 まさか一人とていないはずだ。「選挙戦にならなくてもうけ、もうけ」と思っている当選者は▼初の無投票になった大船渡市議選である▼本紙連載『少を問う』では、4年間でどれくらい支持を得たのか、これまでの活動は正しかったのかを知るためにも、選挙は必要という現職の話を紹介していた。まったくその通りだ▼市民の投じた一票という〝声〟に磨かれてこそ市議である。新人の場合は、得票を武器に新しい風を起こすこともできる▼そういう、あるべき戦いがかなわなかったことがむなしく、歯がゆい▼選挙のたびに立候補者は減っている。背景を、人口減少だけで済ますことはできない▼市政への無関心は、市民の無気力…無力感の表れであり、立候補者数の多寡は、その街の活気と停滞のバロメーターだからだ。無投票は、地域の着実な衰退という現実を突きつけられたことに他ならない▼今後必ず定数減の話になる。18?思い切って16?それなら次は選挙戦にできる?そうではない。やみくもに少なくしたところで、市政に携わりたいという思いが市民からわき上がるような街にならねば、状況は好転すまい▼小紙も責任の一端を担う。新聞を読んで考えようという読者の減少、つまり訴求力を失っている事実を受け止め、発信のあり方を見つめ直したい。市政を自分事として考えてもらえるように。