令和2年08月13日付

 盆の入り、いつも思い出す出来事がある▼小学生の時の話だ。その日は祖父母の部屋で寝ていた(祖父は出張で不在だった)▼明け方、急に目が覚めた。そのまま眠れず何度も寝返りを打っていると、隣の祖母が「起きてるの?」と尋ねてきた。なぜかさっきから目がさえて、と祖母はいい、「どうせもう寝られないし、帳簿を整理する」と言って奥の部屋へ引っ込んでしまった▼さて自分はどうしようかな…とグズグズしていたら、台所から冷蔵庫を開ける音がした。続いて瓶の栓を抜く「ポンッ」という音▼父か母だと思い「私も何か飲む」と台所へ入ったが、誰もいない。カーテンを閉め切った部屋はまだ真っ暗で、人がいた気配もない。驚いて父母の部屋をのぞいたが、2人ともぐっすり眠っていた▼首をかしげながら台所へ戻ると、テーブルの上には栓を抜いたビール瓶があった▼怖いとは感じなかった。そのあと家族に確認した記憶もなく、ビール瓶の謎は今も謎のまま。確かなのはその日が8月13日、盆の入りだったことだけだ▼だからなんだというのではない。ただ、もし幽霊がいるなら、もっと分かりやすく帰ってきてほしいなあと思う▼残念ながら、会いたい人に限ってその霊的存在を見たことも感じたこともない。幽霊でもいいから、会いたいのにな。大震災後は、特にそう思う相手が増えた。