令和7年07月16日付
今月19日と31日は「土用の丑の日」。すでにウナギを予約された方もおられよう▼この数年、食品は何でも値上がりする一方。安くなったものが全然見当たらないような感じだが、日経新聞によるとウナギのかば焼きは今夏、前年同期と比べて2割安になっているという▼世界最大のウナギ養殖国である中国をはじめ、東南アジア全体で稚魚の採補量が高水準となっているからだ▼価格は夏以降、さらに下がると予測される。稚魚が成長する秋頃に価格下落が見込まれるためで、今の時点ですでに安くなっているのも、商社などが在庫消化を急いでいるからという▼さらに、トランプ政権の対中関税強化によって米国向け輸出が減った分、日本に回ってきたとの指摘もある▼ただでさえぜいたく品だからいくらでも安くなったらありがたいのだろうが、安定的かつ安価に供給されるのが中国産だけ、では少々複雑だ▼国内産ウナギは、乱獲と密漁のせいで絶滅の危機にひんしてきた。せめてもの抵抗と思い、個人的に国産は自ら買わないようにしてきた▼だが近年、安定生産の研究が進み、生産コストも下げられるようになってきたとの報道も増えている▼「丑の日はどうしてもウナギ」というこだわりを捨てきれない日本人のために技術が進歩するのは皮肉だが、それで絶滅を免れ、供給量が増えるのならうれしい。