令和6年11月09日付

 「幽霊は100歳で死ぬ」―そんな〝研究〟に関する記事を、眉につばをつけながら面白く読んだ▼英国と米国に拠点を置く超常現象専門家ブライアン・スターリング・ヴェット博士は、幽霊は人間と同じように寿命が限られていると信じ、現在潜んでいる幽霊はほぼ100歳未満であると主張する▼数百年前に幽霊の目撃情報が寄せられた有名な心霊スポット100カ所を10年以上調査したところ、最近の目撃情報がほとんどなかったことや、博士を含む専門家と〝交流〟した幽霊は、自分たちが100年以下しか生きていないと話す傾向があったからだという▼博士らは熱力学の法則に基づき「時間の経過とともに幽霊のエネルギーも分散し劣化する」…つまり、寿命が尽きると結論づけた▼あまりに荒唐無稽だが、聞く分には面白い。言われてみれば縄文人の幽霊話など見たことも聞いたこともないし、現代では落ち武者の目撃談も聞かない。数十年前には軍人にまつわる怪談もよくあったが、すっかり廃れた感がある▼いまだ祟るとされる貴族や侍については、姿は消えて思念だけが残ったのかもしれない▼なお博士らによると、まだ2回目の死を迎えていない幽霊の一人はチャーチル元首相らしい▼なぜかクイーン・メリー号の女性トイレに現れるという彼の次なる寿命前に、英国へ渡れば見られるだろうか?