「最終回」に感謝を込めて 全国ちんどんまつり 大船渡(動画、別写真あり)

▲ 満員御礼の最終回となった「全国ちんどんまつり」

 東日本大震災で被災した大船渡に元気を与えようと、全国のチンドンマンらが集う第7回「復興・大船渡全国ちんどんまつり」(実行委員会主催)は14日、大船渡市盛町のリアスホールで開かれた。市民らで開催してきた同まつりは、マンパワー不足などを理由に今回をもって終了が決まっており、会場には最終回を見届けようと市内外から1000人を超える人々が来場。プロ・アマ20団体による熱演を心ゆくまで楽しみ、大船渡の地で再会できる日が来るよう願いを込めた。

 

プロ・アマ20団体が熱演
満員御礼の大盛況

 

チンドン寺町一座はアマ仲間らとステージを届けた

 同まつりは、被災した人々を勇気づけるとともに、交流人口の増加や地場産品の販路拡大といった地域経済活性化にもつなげ、復興の一助にしようと開催。日頃市町の長安寺太鼓保存会(新沼信一会長)と、同保存会のOBらからなるチンドン寺町一座(鈴木正利座長)が中心となり、市内関係団体とともに実行委員会(委員長・齊藤俊明大船渡商工会議所会頭)を組織し、24年から継続してきた。
 回を追うごとにまつりの名が浸透してきた一方、開催を支えるスタッフの高齢化、マンパワー不足なども厳しさを増してきた。実行委はこうした現状から、今年の第7回をもって一区切りをつけることを決めた。
 今年で見納めとあって、会場には市内外から多くのちんどんファンが詰めかけ、満席に。〝満員御礼〟の中で、最後のステージが幕を開けた。
 最終回は、北は北海道から南は長崎県まで、まつりに参加経験のあるプロ、アマ団体が出演。プロからは▽チンドン!あづまや(東京)▽ダースコちんどん隊(秋田)▽チンドン芸能社(東京)▽ちんどん月島宣伝社・かわち家(東京・長崎)▽ちんどん菊乃家(千葉)──の5団体が名を連ねた。
 司会は歌手の小田えつこさん、助手は珍限菜一楽さんが務め、オープニングではチンドン寺町一座が客席から登場。舞台で待つ19団体とともに、にぎやかに開幕を告げた。
 齊藤委員長は、「今回が見納めになるが、チンドンマンらは芸をさらに磨き、最高のパフォーマンスを披露すると思うので、楽しんでほしい」と、これまでの多くの支援と協力に感謝を込めてあいさつ。戸田公明市長が歓迎の言葉を述べ、齊藤委員長から出演者ら20団体に対する感謝状の贈呈も行われた。
 ちんどんのステージが始まり、前半はアマチュア団体が登場。それぞれ大船渡への感謝や、今後も交流を続けたいとの思いを示しながら、熱演を繰り広げた。
 アマの最後を飾ったのは、チンドン寺町一座。冒頭、まつりに全力をささげながら、昨年亡くなったメンバーの新沼健一さん(享年66)が紹介され、アマ仲間のちんどん豊田倶楽部・絆(愛知)と上尾チンドン倶楽部(埼玉)、長安寺太鼓とともに感謝の舞台を届けた。鈴木座長(72)は「健一さんの意思を引き継ぎ、これからも頑張っていく。寺町一座は永遠に不滅」と力を込めた。
 特別ゲストのヴィジットクルー(東京)によるバンド演奏を挟み、後半はプロ団体がパフォーマンスを披露。卓越した演奏や口上、アイデアあふれる演出などで会場を魅了した。司会の小田さんと夫・一人さんによる歌のステージも、まつりに花を添えた。
 最後はプロ・アマ合同パレードでにぎやかに会場を盛り上げた出演者たち。改めて感謝の思いを示し、笑顔で最終回を締めくくった。
 盛岡市の鷹木クミさん(81)は「終わりと聞いて初めて来たが、どの団体も素晴らしく、涙が出るくらい感動した」と話していた。