操縦士の夢 ついに結実、一本松ヘリコプター開業・就航式/陸前高田(動画、サブ画像あり)
平成27年6月4日付 7面
特定非営利活動法人「J―ISLANS」(ジュリエット・アイランス、鈴木英彦代表理事)による一本松ヘリコプター事業の開業・就航式は3日、陸前高田市竹駒町・玉乃湯近くのフライトセンターで行われた。日米の事業用操縦士資格を取得し、自らの夢を追い続けて設立準備を目指した高田町の白山洋さんは昨年逝去したが、同じ志を抱いた仲間が受け継いだ。飛び立ったヘリコプターを見上げた関係者は、防災充実や地域活性化につながる活用に期待を寄せた。
広域防災充実へ始動

故・白山洋さん
就航式には気仙3市町の首長や行政、商工団体などの関係者約30人が出席。神事では3首長らによる除幕が行われ、全長約9㍍、スカイブルーに彩られたロビンソンR44機(4人乗り)がお目見えした。
鈴木代表理事は「皆さんに利用していただき、この事業が長く続くように」とあいさつ。白山さんと生前親交があった戸羽太陸前高田市長は「復興への大きな一助になると確信している」と述べた。
式後、初めてのフライトには洋さんの兄・明さん(55)=千葉県在住=らが乗り込んだ。約400㍍前後の高さで約5分間、高田松原付近までを往復すると「気持ち良かった」と話し、笑顔を見せた。
さらに「弟とは、初めに乗せてくれると約束していた。今回、最初に乗ることができたので、許そうかなと思う」とも語った明さん。事業に対しては「弟の志がきっかけとなり、防災や観光、地域活性化など地元の皆さんが望んでいる形で事業が成長していってくれれば」と期待を込めた。
30年近くにわたり会社員人生を歩んできた洋さんは、東日本大震災発災から一夜明けた平成23年3月12日、高田一中付近から被災した市街地を見渡した。目に留まったのは、県立高田病院付近で救助活動を展開していたヘリコプターの光景だった。
「絶望の淵にあり、右往左往していた時に見たあの光景が、最初のきっかけとなった」と生前話していた洋さん。海を抱えた地域には防災のためのヘリコプターが欠かせない──と、事業を志した。
震災で自宅被災は免れたが、妻・順子さんをはじめ、家族6人が犠牲となった。悲しみを抱え続けながらも、日米で研修を重ねて飛事業用操縦士資格を取得した。
法人名の「J」は順子さんから一字を取って命名。格納庫やヘリポートを構えるフライトセンター用地は、竹駒牧野採草地農業協同組合の協力を得て、玉乃湯近くのパークゴルフ場隣接地に整備した。ヘリコプターも確保したが、洋さんは昨年秋、50歳で急逝した。
その後、多くの共感と期待が寄せられながらも実現せずに終わった計画を無駄にすまいと、洋さんの知人らが事業化への準備を続けてきた。さらにヘリコプターの購入や整備などで交流があった滋賀県東近江市の運航会社・マックスパワー㈲の飯田鍛也社長から協力が得られ、ヘリコプターの配置に加え操縦士や整備士が常駐することになり、年間運航体制が実現した。
当面の活動には▽自主的広域防災活動▽子どもたちの健全育成を図る活動▽観光の掘り起こしと産業振興──など、洋さんが描いていた方向性をそのまま掲げる。
本開業は、各種法的適合検査終了後の今月末を見込む。現段階の検討では、会費などは後日定めるが、法人会員は入会費1万円・年会費5万円、個人会員は入会費1500円・年会費3000円程度とし、利用時には保険料や燃料代を実費負担する形を想定している。問い合わせは鈴木代表理事(℡090・3369・9644)へ。






