〝景観美化〟 に一役かう、「東滝」へヤマメ放流 /陸前高田
平成27年6月10日付 7面
陸前高田市高田町の氷上山麓(さんろく)中腹にある「東滝」の滝つぼへ8日、滝周辺の環境整備を行う有志メンバーと気仙川漁業協働組合(高橋勲組合長)がヤマメの稚魚を放流した。参加者は滝の回りで魚たちが大きく育ち、豊かな景観づくりに役立ってくれることを願っている。
稚魚が滝つぼで元気に泳ぐ
放流を計画したのは、昭和32年旧高田中学校卒の3年2組メンバーでつくる「産土(うぶすな)の会」(高橋國雄会長)。同会は今年1月から「古滝」とも「不動の滝」とも呼ばれる東滝の整備を自主的に行い、「市の観光スポットとして光が当たるように」と尽力する。
そばに不動尊をまつる同滝は長らく放置されていた様子だったが、同会メンバーが今年から定期的に刈り払いをするなどし、現在は明るい木漏れ日が差し込む神秘的な場所に。滝つぼに積もっていた土砂も根気よく引き上げられ、清い流れを取り戻した。
今回行った川魚放流も、滝の環境美化活動の一環。高橋会長が同漁協へ協力を要請し、同市矢作町などでヤマメやイワナ、ニジマスの養殖をしている「岩姫」の宇部稔さんが稚魚提供を快諾したことから、実施が実現した。
この日は高橋会長(73)と同会の伊東知義さん(73)、松田征也さん(73)、同漁協の菅野信副会長(77)と業務部副部長の板林公一さん(67)が放流会に参加。滝つぼにおよそ200匹余りを放ったところ、体長3~5㌢ほどの稚魚たちはさっそく元気に泳ぎ始めた。
もともと同滝下流の川原川にはアユやウグイなどが生息しているといい、川魚が泳ぎ回る光景は懐かしくも新鮮なもの。菅野副会長は「元気に育ってくれれば、協力したかいがある。夕方になるとあたりには虫も飛んでくるというし、えさを食べて大きくなってほしい」と願う。
「整備を始めた当初から『ここでヤマメが泳いだら、ますますいい雰囲気になるだろうなあ』と思っていた」と高橋会長。滝の下で泳ぐ魚影を楽しんでほしいとし、笑いながら「魚が大きくなってもしばらく食べないでおいてやってほしい」と釣り人や見学者に協力を求めている。






