大船渡に初の市外資本ホテル、「ルートイン」来年5月の開業目指す

▲ かさ上げ工事が進む土地区画整理事業区域。初の市外資本ホテルとなる「ルートイン」が進出する=大船渡

 ホテルなどを全国展開するルートイングループ(本社・東京都)運営のビジネスホテル「ルートイン」が、大船渡市での来年5月の開業を目指していることが分かった。市外資本のホテル建設は初めて。建設予定地は大船渡町の大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内で、建物は市内最大規模の7階建て約200室となる見通し。今夏の着工を予定しており、市内の宿泊や観光関連業者では共存共栄の道を探る動きも見え始めている。

 

 今夏着工予定

 

 ルートイングループはビジネスホテル・観光リゾートホテルなどを全国に展開。今月1日現在、ホテルは254施設ある。東日本大震災後の平成25年には岩手、宮城、福島の被災3県で10施設の開業を見据えた「東北復興事業計画」を発表。気仙の近隣ではこれまで、釜石市と気仙沼市で昨年、開業を果たしている。
 県内では9施設目となる大船渡での開業も同計画の一環。県内では9施設目となる。グループのホテル運営・管理・企画を担うルートインジャパン㈱広報室によると、建設予定地は大船渡町字野々田地内。中心市街地再生を目指して整備が進む大船渡駅周辺土地区画整理事業の区域内で、すでに仮換地指定が済んでいる。
 建物は7階建てで客室は208室、延べ床面積は約5000平方㍍を予定。来月中旬にも起工式を行って8月には本格着工する見通しといい、開業は来年5月を目指している。総事業費は約12億5000万円。
 市商工港湾部によると、市内の宿泊施設は震災前の平成22年度末で39施設あり、合計の収容人数は1491人だった。本年度当初の段階では、施設数は31と減ったものの部屋数の多い施設の新設などもあって収容人数は1508人と増えたが、多くの復興支援者が訪れている中にあって、受け入れ施設は不足している状況が続いている。
 加えて、同市では来年8~10月にかけて希望郷いわて国体の公開競技やデモンストレーションスポーツの開催を予定。 2019年のラグビーワールドカップ開催地の一つに釜石市が選ばれるなど、交流人口増につながり得る要素もあり、当面は引き合いの強い状況が続きそうだ。
 ルートインジャパン広報室では「ホテルを出店することで、復興事業に携わる方をはじめとした宿泊需要に応えるとともに、雇用創出などを通じて地域活性の一翼を担えるよう努めていきたい」とする。
 全国展開する外部資本のホテルの大船渡進出は初めてのケース。グループのホームページで来年5月開業の情報が発表されたこともあり、市内では共存共栄の模索がすでに始まっている。飲食店主の一人は「一人でも大船渡への滞在客が増えるのであれば歓迎すべきことだと思う」、宿泊業関係者は「差別化に意を払っていきたい」と語る。