住民に計画概要示す、気仙川河川改修説明会スタート/住田
平成27年7月1日付 1面

県による「気仙川の河川改修に係る計画説明会」は29日夜、住田町農林会館で開かれた。同川の治水対策である河川改修事業に関し、計画概要を住民に提案。参加者からは浸水被害の防止はもちろん、日常生活や景観に合わせた整備を望む声が上がった。
説明会は、気仙川と大股川の治水対策として進めてきた同町世田米の県営津付ダム建設事業が昨年7月に中止となったのを受け、新たな河川改修計画の基本的な考え方を住民らに示し、意見を聞こうと企画。この日は町内を中心に30人余りが参加し、県沿岸広域振興局大船渡土木センター住田整備事務所の高橋正博所長ら職員12人が出席した。
高橋所長は「県がどんな河川改修の計画方針を立てているか、今後どんな工程で河川工事をするのかを示し、昨年開催した説明会でいただいた意見についても触れていきたい。きたんのない意見をいただきたい」とあいさつした。
続いて、県側が気仙川河川改修計画の概要を説明。計画区間は気仙川河口の2・4㌔地点から大股川合流点(住田高校付近)間の20・4㌔。第1期(平成26年~35年)は30年に一度発生する規模の大雨(洪水)に対して、第2期(36年からの40年程度)は70年に一度発生する規模の大雨(洪水)に対して安全な川にするよう、段階的に工事する。
事業スケジュールは、気仙川7工区、大股川1工区で計画。施工準備や可能な個所での河道掘削作業を進めており、同町川向工区内の特別養護老人ホーム(新すみた荘)前の両岸工事は年内に着工を予定。作業の節目ごとに住民へ説明しながら進めていく。
計画策定に当たっての基本的な考え方には、▽気仙川の豊かな自然環境に配慮▽堤防のかさ上げ、一部区間の河道掘削等により計画高水位が宅地側地盤と同程度の高さとなるよう計画▽河道掘削では、みお筋(通常水が流れる部分)や瀬、淵を残しながら、平水位(通常の水かさ)以上の土砂の掘削を基本とする──など7点を挙げた。
その上で、全区間の平面図をもとに工区ごとの整備延長やおもな改修個所を提示。住田町内では、▽田ノ上橋下流の一部掘削(田畑~田谷工区)▽上流側に向いた中沢川との合流点の流れを下流へと流す工夫(川向工区)▽右岸側の河川敷に散策路やテラスなどの川と親しむ施設を配置する(同)──などを計画している。
町内の具体的な改修計画のうち、住田フーズ付近(火石~川向工区内)では左岸側を約2㍍かさ上げし、その上に約1㍍のコンクリート壁を設置。ふれあい広場付近(川向工区内)では左岸側に1㍍の壁を設け、右岸側は1・7㍍のかさ上げを施す。
住民からは「中沢川との合流点は確実に下流へと流すようにしてほしい」「世田米に残る昔ながらの町並みや蔵並みとマッチした整備を」「護岸への消防水利や管理車道は設けられるのか」などの提言、質問が寄せられた。
「ダム建設地の跡地利用は」との質問も。高橋所長は「平場の利活用について検討している。地権者による買い戻しをはじめ、防災上の面で必要な土地を確保したい。津付の付近に雨量計がなく、あれば下流への影響が予測できることから設置を考えたい。地権者からはダムの計画があったことを残してほしいとの話を受けており、何か残せるもの、できることがあれば前向きに考えたい」と答えた。
説明会は30日夜、陸前高田市の横田地区コミュニティセンターで開催。最終日の1日午後7時からは、竹駒地区コミセンで開かれる。大股川の河川改修に関する説明会は、8月から9月の開催を予定している。