障がい者らで梱包業務、出荷作業スタート/陸前高田市ふるさと納税(動画、別写真あり)

▲ 丁寧に確認しながら梱包、配送などにあたる福祉施設利用者ら=矢作町

 陸前高田市が今月から再開したふるさと納税の返礼品初出荷式は8日、矢作町内で行われた。作業を担うのは、社会福祉法人燦々会(高井文子理事長)が運営する高田町の就労継続支援B型事業所・あすなろホームと、非営利型一般社団法人・かたつむり(吉田定理事長)が運営する「@(あっと)かたつむり」(大船渡市赤崎町)の利用者たち。障がい者らの就労支援をはじめ、納税の恩恵を地域に広く波及させる仕組みを整え、全国各地に多彩な特産品を届ける。

 

返礼品の恩恵 多くの人々に

 

 初出荷式には、福祉施設利用者や市関係者ら約30人が出席。返礼品の配送業務を担う一般社団法人ドリームプロジェクトの関欣哉代表は「市が進める『ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり』に向け、この事業が施設外就労の一つのモデルとなれば。事業を継続し、正確な梱包で感動を呼ぶことが目標」とあいさつした。

 来賓出席した戸羽太市長は「みなさんがもっと忙しく、笑顔になれるように」と祝辞を述べた。作業所内では、約100箱の梱包や宛先が記されたシール貼りなどが行われ、両施設の利用者計8人は佐川急便のスタッフらから指導を受け、1箱ずつ丁寧に対応。戸羽市長らも加わってトラックに積み込み、全員で出発を見送った。

 ふるさと納税は東日本大震災以降中断していたが、市では納税者に返礼品として贈る特産品を安定的にそろえる環境が整ったことから、今月1日以降受け付けを再開。これまで、地元事業者にも広く恩恵が行き渡る仕組みも模索してきた。

 全国各自治体でアピールや返礼品の充実に力を入れている中、陸前高田市の特徴的な一つは、福祉施設利用者への作業委託。幅広い人々の就労機会をつくろうと地元内外の民間企業関係者で先月発足したドリームプロジェクトは、障がい者が施設外就労できる環境を整えた。平日の日中時間帯に、両施設の利用者が作業場に通う。

 あすなろホームの西條一恵施設長は「就労機会や工賃につながることはもちろんだが、市の仕事を担うことでやりがいも生まれる。施設外就労ならではの緊張感も味わうことで、将来的な一般就労へのステップにもなれば」と、期待を込める。返礼品にははがきも同封し、作業を担う人々に応援メッセージを呼びかける。

 作業にあたる@かたつむり利用者で気仙町在住の荒木文江さん(53)は「シールを貼ったり、箱を運んだり、いろいろな仕事があるので楽しい。もっと仕事が増えてほしい」と話し、笑顔を見せる。

 返礼品は現段階で30事業者・76品に上る。特産品相当額は寄付金5000円から1万円未満は2000円で28品、1万円から3万円未満は4000円で24品、3万円から5万円未満は1万円で13品、5万以上は1万5000円で11品の中から選択できる。

 ホームページなどで返礼品に選ばれた特産品を公開。ホタテやエゾイシカゲガイ、「たかたのゆめ」といった農林水産品のほか、菓子や水産加工品、リンゴジュースなどもそろえた。多くの人々に閲覧してもらうことで、各産品の知名度向上にも期待を寄せる。

 各地の事業所などから返礼品を受け取り、梱包を行う作業所まで運ぶ役割は、矢作町の地域住民に委託。村上昌蔵さん(69)は「とくに難しい作業ではない。納税事業にもっと貢献できれば」と語る。

 今月1~7日の納税申込件数は323件で、405万2222円。1日だけで90万円余りに達し、平成21年度の年間実績約80万円を上回った。納税は12月がピークといい、市などでは周知に力を入れる。

 寄付の使途は▽子ども支援▽高齢者・障がい者支援▽農林水産業・商工業等の振興▽コミュニティ活動・NPO団体などの支援▽文化財保護活用──などから選択できる。納税などに関する問い合わせは市企画部企画政策課(℡54・2111)へ。