越喜来小・こども園 供用は来年11月上旬に、市が地元建設委に工事の見通し提示/大船渡

▲ 開校・開園までの工程について説明された建設委員会=三陸公民館

 大船渡市の越喜来小学校・越喜来こども園建設委員会(委員長・坂本光博越喜来地区復興委員会まちづくり委員長)は21日、三陸町越喜来の三陸公民館で第13回会合を開いた。市側は、越喜来小出の高台で建設が進められている新校舎・園舎の供用開始時期について、平成28年11月上旬を目指す意向を提示。これに向けた工事の見通しについて説明し、委員らの了承を得た。両施設の工事は造成工法の変更や入札不調などにより後ろ倒しとなっていた背景があり、委員からの「工程通りの進行を」という要望の声に、市は力を尽くす考えを示した。

 

 越喜来小は東日本大震災の津波で校舎が全壊。地震被害を受けた崎浜小とともに甫嶺小を間借りして3校合同で授業を行い、24年4月に統合して新たな越喜来小となった。現在も甫嶺小校舎を使っている。

校舎と園舎が建つ高台の敷地=三陸町越喜来

校舎と園舎が建つ高台の敷地=三陸町越喜来

 こども園は、越喜来保育所と越喜来幼稚園を統合して新設するもの。保育所が津波で全壊し、現在は幼稚園敷地内に仮施設を設けている。
 新しい校舎・園舎は高台へ一体的に整備。市教委は地元との話し合いを重ねたうえ、海岸から1・5㌔ほど離れた大船渡消防署三陸分署南西の山側一帯を切土し、敷地を確保した。
 標高は約52㍍で、造成面積は約4万6600平方㍍。小学校は校舎棟が鉄筋コンクリート造と木造を組み合わせた2階建てで、屋内運動場は鉄骨造平屋建て。

 こども園は木造平屋建て。設計は㈱佐藤総合計画東北事務所、施工は東急建設㈱・正三建設㈱特定共同企業体が請け負った。工期は来年9月15日まで。
 両施設は当初、27年度中の工事完了、来年4月の供用開始を目指していたが、造成時の土砂運搬や擁壁工変更、今年2月の建築工事初回入札の不落などで延期。5月の2度目の入札で施工業者が決まり、今月6日には関係者が現地で建築工事安全祈願祭を行い着工を告げている。
 会合には、新しく委嘱された委員を含む建設委員と、今野洋二教育長ら市職員、設計・施工の関係者ら合わせて約40人が出席。冒頭、今野教育長が「学校、PTA、地域の方々に理解をいただきようやくここまでこられた」と述べ、坂本委員長が「地域のシンボルとなるような質のいい施設が完成することに期待したい」とあいさつした。
 議事では、施設工事の工程について市側が説明。今年の9月以降に校舎や園舎、体育館、プールなど各施設の基礎工事が始まり、開校・開園時期は秋の行事、引っ越しなどの準備期間を考慮した上で来年11月上旬を見込んでいることを示した。
 建設委員からは、グラウンドのフェンスなど子どもたちの安全を確保する設備設置を要望する声や、グラウンドへの車の進入路や避難所としての機能についての質問が出された。また、「地域の全員が楽しみにしているので、ぜひ工程通り進めてほしい」という声もあがり、市側は住民の意向に沿うよう努めていく姿勢を表した。
 会合のあとには、越喜来小学校の校歌・校章制定委員会も開かれ委員約20人が出席。校歌は来年3月の完成を見込み、校章デザインは、公募で集まった作品24点の中から選ぶこととした。運動着のデザインや使われる素材についても今後検討を進めていく。